シトロエンDS5 の高度なソーシャル・マーケティング
フランスはやや意外ですが「世界最大の自動車輸出国」だそうです。日本におけるフランスブランドというとやや地味な印象があります。メルセデス・BMWのドイツブランドやフェラーリ・ランボルギーニといったイタリアブランドに比べて、カーマニアの羨望の的になることも稀で、「低価格」な輸入車のイメージが強いです(ブガティ・ヴェイロンも仏車ですが・・・)。
ただフランス車好きにその魅力を訊くと「ドイツ車は華やかな高級車と地味な大衆車に分かれるけど、フランス車はすべてがオシャレじゃないとダメなんだ!」ということらしいです。世界最大の自動車輸出国でありながら、グローバル市場でフランスブランドが苦戦しているのは矛盾しているように感じますが、これはアメリカと同じように日本・ドイツ・韓国メーカーの現地生産が進み、フランスを製造拠点として欧州の周辺国へ供給しているからというのが真相のようです。
フランスは「原発依存」が進んでいるので産業用の電気代がとても安く、先進国でありながら「産業の空洞化」が進行しなかったのですが、ドイツやイタリアなどが「原発廃止」を打ち出した2007年頃に、EU内での協調ということで、フランスも3倍近くの値上げを行い、現在では日本とあまり変わらない水準になっています。そういえばこの頃からPSA(プジョー&シトロエン)の業績が急激に落ち込んで、とても気に入っていた名車「プジョー・クーペ407」が製造中止になりました・・・。
フランス人の「国産車」および「フランスブランド」愛好意欲は相当に高いらしく、国内市場はフランス3ブランドで55%を確保しています。例えばドイツも「VW」「アウディ」「メルセデス」「BMW」「オペル」合計の主要5社の国内占有率は50%程度なので、「ドイツ人がドイツ車を好き」なのと同じかそれ以上に「フランス人はフランス車が好き」と言えます(アメリカ45%、イタリア20%、日本90%)。日本と比べれば低いという意見もありますが、あちらにはEUという枠組みがあり、地理的にも政治的にも「輸入車」の概念が日本とはだいぶ違います。船に載せて運ぶ必要はないですし・・・。
この前もこのブログでしつこく「DS3」というクルマをご紹介しましたが、シトロエンというブランドはなかなか特別な雰囲気を持っていて興味深いです。しかしフランスのブランドとしては3番手のポジションに甘んじています。半国有企業の「ルノー」とシトロエンの親会社にしてそのルーツはナポレオン時代に遡るという名門「プジョー」が今も2トップを張るフランスのクルマ産業は「最先端」というより「伝統工芸」のイメージが少なからずあります。
最新鋭のトヨタ車に比べれば工作精度も低いフランスメーカー車を、価値の高いクルマと認める視点には、欧州の「もの作り」の象徴である「ギルド(ツンフト)」つまりマイスター文化への憧れがあります。日本のユーザー特に、こういう価値観を無批判で受け入れる大学の先生に教わってきたインテリ層に「フランス」「イタリア」「イギリス」のクルマがドイツ車と並んで受け入れられています(私としては盲目的な姿勢に警鐘を鳴らしたいのですが・・・)。
それはさておき、「伝統工芸」というものは「ルネサンス(巻き戻し)」を繰り返し、変り果てた現代に再び輝かしい「イディア」を呼び戻してくれるわけですが、「シトロエンDS5」というクルマも現在のグローバルなラインナップで見れば特異のクルマです。誰もこのクルマを見て「エスティマのパクリ」などとは言わないでしょう。このクルマはオランド大統領の公用車にもなっているんだとか・・・。そんな「余計な情報」なしでも十分に素晴らしいデザインなのはわかりますけどね。
百聞は一見にしかず・・・岡崎五郎さんがいつになくゴキゲンで解説してます。
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ただフランス車好きにその魅力を訊くと「ドイツ車は華やかな高級車と地味な大衆車に分かれるけど、フランス車はすべてがオシャレじゃないとダメなんだ!」ということらしいです。世界最大の自動車輸出国でありながら、グローバル市場でフランスブランドが苦戦しているのは矛盾しているように感じますが、これはアメリカと同じように日本・ドイツ・韓国メーカーの現地生産が進み、フランスを製造拠点として欧州の周辺国へ供給しているからというのが真相のようです。
フランスは「原発依存」が進んでいるので産業用の電気代がとても安く、先進国でありながら「産業の空洞化」が進行しなかったのですが、ドイツやイタリアなどが「原発廃止」を打ち出した2007年頃に、EU内での協調ということで、フランスも3倍近くの値上げを行い、現在では日本とあまり変わらない水準になっています。そういえばこの頃からPSA(プジョー&シトロエン)の業績が急激に落ち込んで、とても気に入っていた名車「プジョー・クーペ407」が製造中止になりました・・・。
フランス人の「国産車」および「フランスブランド」愛好意欲は相当に高いらしく、国内市場はフランス3ブランドで55%を確保しています。例えばドイツも「VW」「アウディ」「メルセデス」「BMW」「オペル」合計の主要5社の国内占有率は50%程度なので、「ドイツ人がドイツ車を好き」なのと同じかそれ以上に「フランス人はフランス車が好き」と言えます(アメリカ45%、イタリア20%、日本90%)。日本と比べれば低いという意見もありますが、あちらにはEUという枠組みがあり、地理的にも政治的にも「輸入車」の概念が日本とはだいぶ違います。船に載せて運ぶ必要はないですし・・・。
この前もこのブログでしつこく「DS3」というクルマをご紹介しましたが、シトロエンというブランドはなかなか特別な雰囲気を持っていて興味深いです。しかしフランスのブランドとしては3番手のポジションに甘んじています。半国有企業の「ルノー」とシトロエンの親会社にしてそのルーツはナポレオン時代に遡るという名門「プジョー」が今も2トップを張るフランスのクルマ産業は「最先端」というより「伝統工芸」のイメージが少なからずあります。
最新鋭のトヨタ車に比べれば工作精度も低いフランスメーカー車を、価値の高いクルマと認める視点には、欧州の「もの作り」の象徴である「ギルド(ツンフト)」つまりマイスター文化への憧れがあります。日本のユーザー特に、こういう価値観を無批判で受け入れる大学の先生に教わってきたインテリ層に「フランス」「イタリア」「イギリス」のクルマがドイツ車と並んで受け入れられています(私としては盲目的な姿勢に警鐘を鳴らしたいのですが・・・)。
それはさておき、「伝統工芸」というものは「ルネサンス(巻き戻し)」を繰り返し、変り果てた現代に再び輝かしい「イディア」を呼び戻してくれるわけですが、「シトロエンDS5」というクルマも現在のグローバルなラインナップで見れば特異のクルマです。誰もこのクルマを見て「エスティマのパクリ」などとは言わないでしょう。このクルマはオランド大統領の公用車にもなっているんだとか・・・。そんな「余計な情報」なしでも十分に素晴らしいデザインなのはわかりますけどね。
百聞は一見にしかず・・・岡崎五郎さんがいつになくゴキゲンで解説してます。
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