何かと嫌われている「ブランド」

  別にそれほど気にする必要はないのですが、なかなかややこしいなと思うのが、各自動車メーカーが歩んできた歴史とその過程で付いた「イメージ」で、結構「え?」ってのが多くて面倒くさいです。クルマに乗り始めたばかりの我々にはいまいち何のことだかさっぱり解りません。そんなことは実際にはかなりどうでもいいことなんですけど、クルマの評論書いてる人間なんて名前が知られている中で一番若いのは1972年生まれの島下泰久氏ですから、それを読む側からすると結構ハードルが高い。

  もちろん「Car and Driver」「Driver」「New Model Magazine X」の月刊三大誌の専属スタッフのようなライターの新型車に関する提灯記事は別に違和感なく読みこなせるし何の問題もないのだけど、まったく頭に残らないので読むだけムダ。やはり気になってしまうのが、「名のあるライター」による濃い内容のコーナー記事。もうそれこそ輸入車「好き!好き!」というライターにとって「ホンダ」「スズキ」「マツダ」などは真剣に語るに値しないブランドなんでしょう。そういう匂いがプンプンしている記事を見ると国産車好きとしては、悲しみ&憤りが頭を過って、一言一句まできっちり読んでしまうから不思議なもの。

  最近じゃ「アクセラ」「ハスラー」「ヴェゼル」といったヒット車が出ていて、これに西川淳氏とか福野礼一郎氏などをわざわざ宛てがう雑誌編集部ももはや「確信犯」だなと思います。どうせ読者にこれらのクルマを買う人はほとんどいないので、「ボコボコにやっちゃってください!」なんてエグい打ち合わせが行われている様子が想像できる。もはやカーメディア全体が50歳代以上のサロンと化してして、「うぇ〜・・・」っていう嫌悪感もあるのですが、それが絶妙に面白くてウケているのもなんとなく解かってしまう・・・。

  言葉は悪いですが、世の中こんなの読んで喜んでいる"じじい"ばっかりなんだな・・・。私個人の意見としては「アクセラ」「ハスラー」「ヴェゼル」は全て素晴らしいと思うのですが、これだけコケにされているのを見せつけられると、自分のクルマとして買って乗るという気にはとてもなりません。悔しいですが、結局のところ「レジェンド」「スカイライン」「レガシィ」「アテンザ」しか手が出せなくなってしまいます。こういうクルマな「悪趣味なオッサン」を黙らせるそれなりの説得力があるので・・・。

  徳大寺有恒という1939年生まれの大御所ライターは自身が続けてきた「間違いだらけのクルマ選び」というシリーズの著作を33歳年下の先述の島下泰久氏に引き継いだのですが、このバトンタッチがとても興味深いです。徳大寺氏の全盛期の著作集を見ると「苛烈」そのもので、今のオヤジライターとほとんど差がない。しかし後任の島下氏は物腰が柔らかい「仏の島下」といった感じの青年ライターで、この人が批判するときはよっぽどメーカーの手抜きが明るみに出た時くらいなんですよね。

  徳大寺氏もいまだに自分のスタイルをパクったままのオヤジライターに任せるよるも適任と考えたのかもしれない。そして差し込まれる徳大寺氏のコラムは、完全に牙を抜かれていて、真剣にクルマの将来を考えた明るいものが多くなった印象ですね。センスの欠片もないようなオヤジライターの「上から目線」に辟易している若い人はこの本を参考にするといいかもしれないです。とにかくマツダ・スズキ・ホンダのクルマを検討している人が不快になるということはまずないですね。不思議と気分がいい本ですよ。




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