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改めて「1.8~2.4Lクラス」のエンジンについて

  小型車エンジンと比べて刷新のサイクルが遅いように感じるのが中型車エンジンです。たとえば1.8L~2.4Lの直4はトヨタも日産も化石のような古いエンジンのままです。なぜ開発そのものが放棄されてしまうのか? 日本で最も売れている中型車は、もう断トツでトヨタ・プリウスになるわけですが、つまりこのクラスのパワーユニット常識がすでにHVに移行してしまったことで、トヨタも日産も古いエンジンをベースに長年ハイブリッドシステムを開発してきたことから、安易な仕様変更ができないみたいです。   今後は例外なくHVにどんどん置き換えられていくであろう中型車向けに、わざわざ自然吸気あるいは過給のエンジンを新規に開発するメーカーが少なくなってきたようです。HVに対して慎重な姿勢のスバルやマツダも2L4気筒にそれぞれハイブリッド化されたタイプが存在しますし、どういう因果かどちらも現行エンジンはあまり好印象ではなかったりします。これまでコスト管理がしっかりできている良質な日本メーカーの中型車エンジンは、海外の少量生産を行うスポーツブランドを支えてきました。有名なところではロータスがトヨタからエンジンの供給を受けています。   先日行われたルマン24時間は劇的な幕切れでしたが、ポルシェやトヨタとともにLMP1クラスに参戦したチームはアウディの他に「レベリオン」と「バイコレス」がありましたが、この2チームにエンジンを供給していたのがAER(Advanced Engine Research)というエンジニアリング会社です。このAERは大手メーカーのエンジンをベースにレース活動するチームにエンジンを供給するエンジンサプライヤーですが、AERがこれまでにベースとしてきたエンジンは6気筒が日産製(VQシリーズ)、4気筒がマツダ製(MZR)です。   AERが採用しているからこの2つのエンジンがそれぞれ6気筒と4気筒の頂点だ!というのは少々強引かもしれませんが、どちらも日産、マツダがそれぞれ「スポーティ」を意識して仕上げた「噴け上がり」重視の相当に気合の入ったエンジンです。エンジンシリンダの「長さ(ストローク)」より「直径(ボア)」が長いエンジンを一般にショートストロークと言いますが、どちらもこれに該当します。排気量に比してストロークが短いわけですから、物理的に回転数が上がりやすい設計になりま

中型車をエンジンから選ぶのは難しい〜・・・。

  昨年の暮れに発売されて以降、さすがの人気を誇っているのが「新型プリウス」です。プリウスと聞いてどんなイメージを持ってますか!?ちょっとややこしいですけども、トヨタのミーハー全開のトップ戦略によってこのモデルも大きくその立ち位置を変えてきています。先代までのプリウスは正直言って燃費のためにあらゆることをガマンする人のためのクルマでした(異論は認めない!)。   それが現行モデルになって、えげつないくらいに変化しました。デザインとか燃費とかいろいろ言われてますけど、なによりも最大にビックリなのが、ヒップポイント(座る高さ)が59mmも下げられたことです!!!もともとトヨタのこのクラスの日本仕様には「シートリフター」(シートの上下機能)という概念もほんの数年前まで無かったわけですから、ちょっと変化の振り幅が大き過ぎる!!!社長がスポーツカー好きだとここまで過激になるの!? 「BMWみたいだ!!!」「86みたいだ!!!」って感想が出るのも当然です・・・。   全ラインナップのHV化が着々と進行しているトヨタにとって、「プリウス」の存在は浮いてしまった!!!けれどもHVと言えばプリウスというくらいにグローバルで使っている商標なので、いまさら幕引きもできない・・・。だったら思いっきり愉しいクルマにしちゃえばいい!!!とスペシャルティ化へと舵を切ってきたようです。さて何に一番スペシャルティを感じるか? と考えた結果がヒップポイントなんでしょうね。6cmって相当なインパクトです。日産やマツダがスポーティを演出する時に必ず使う手なんですけども、プリウスがこんなになっちゃったら、フェアレディZ、スカイラインあるいはロードスター、アテンザなどは余計に売りにくいでしょうね。   国内で新型車が発売すると俄かに盛り上がるのが「オーナー掲示板」でして、本来は貴重な情報交換の場としてトリセツ以上に有用な存在なのですが、これだけ大きく変化したプリウスですからその反響はまさにカオスです。中には困った輩もいまして、ちょっと覗いてみたところ、あらら〜・・・「今のプリウスがあればBMW320iなんてもう用無し」「プリウスはゴルフも3erもまとめて追い越した!!!」と威勢のいいコメントがかなり並んでいます。   ヒップポイントだけでなく、全体的に低重心化されて、当然に「走り」も大きく代わ

BMWとスバルはやっぱり正義なの!?

  前回は「アジア・東欧」で主流の0.9~1.2Lクラスのエンジンについてあれこれ勝手なことを書きましたが、今回は「西欧」タイプの1.4~1.6Lクラスについて語ります。あ〜予め言っておきますが、実際に1.4~1.6Lの自然吸気/ターボのエンジン搭載車を愛用している人はさっさとページを閉じたほうがいいと思います。ろくなこと書いてませんから・・・。   マツダ、メルセデス、BMW、スバル、ホンダ、アウディといった日本でも人気の中型車ブランド全てに共通して言えることですが、どうして?っていうくらいに2Lクラスと1.4~1.6Lクラスとには大きな性能の格差があります。標準(上級)グレードを2Lが、廉価グレードを1.4~1.6Lが充当されることが多いせいか、どのメーカーもわざと下位のエンジンの精度を落としているんじゃないか?(まあ当たってんだろうな・・・)   1.5L自然吸気と1.5Lターボではまた意味合いが違うのは確かです。このクラスのエンジンが残念だと思うのは、最大トルクが自然吸気で15kg・m、ターボで20kg・m程度なのですが、思った以上に回転数が伸びないので1500kg近い重量があるクルマだと、どうしてもかったるく感じます。いわるゆ欧州的な仕立てのクルマは低回転域でのトルクを重視してエンジンやギア比をチューンしますが、2Lクラスのエンジンだと、低回転域でトルクを補った分のしわ寄せがそれよりも上の回転域にあっても余力でカバーしますが、1.5Lクラスだと「底」が見えます。   最大出力140psくらいの1.4~1.6Lターボは、日本で売られる欧州ブランドの主力(本国では主力はディーゼル)ですが、ほとんどのモデルがボデー重量との「せめぎ合い」でギリギリのところを狙っているかのように作ります。試乗する人によって「コレで十分」あるいは「パワー不足」とマチマチの評価が出る辺りに見事に落とし込んでいます。結果的にBセグなら余裕!!!(先代ポロGTI)、Cセグは微妙(ゴルフ・ハイライン)・・・、Cセグワゴンだと不満(ゴルフヴォアリアント・ハイライン)といった次第です。   まあクルマなんて何事も「いいクルマだ!」思い込むことが、うまく付き合うための第一歩だとは思います。「1.5Lだけどよく走るよ!」と思い込めれば、経済的な負担を抑えることができますし、つまり・・

エンジンでクルマを選ぶならば・・・

  せっかくクルマを買うならば、「良いクルマ」を選びたいですよね。できれば「名機」と讃えられるようなエンジンを積んでいて、「芸術」と称されるデザインでボデーが包まれ、「人間工学」に優れた機能性を有しているいわゆる「名車」がいいな。そしてそれがどんな場所で、どの市場のどの階層を目的として作られているのか?なんてのも気になります。   最近のクルマは雰囲気だけで値段が決まっていることもあって、400~500万円くらいする国産では高級に属する部類のモデルのエンジンが、中国の工場で組み付けられていたりします。他にもドイツのプレミアムブランドと日本のプレミアムセダンに併用されている直4ターボエンジンが組み付けられているのはアメリカの工場です。グローバルで年産100万台くらい作るメーカーでないと、廉価な量販車を一定の品質で開発することは難しいようですが、大規模な工場でも年産30~40万台くらいですから、トヨタやマツダのように国内拠点をクラスター化しているメーカーでも車種によっては海外組み立てモデルを輸入するケースもあります。   国内販売モデルの車種を確保するために、スズキはハンガリーとインドからグローバルモデルを導入しています。最近では排気量である程度はどこの地域で作られたクルマかがわかるようになっていまして、0.9~1.2Lくらいの小排気量はアジアと東欧、1.4~1.6Lくらいだと西欧、1.8~2.4Lだと北米といった感じです。2.5L以上になると大抵の地域で高級モデルと位置づけられているようです。   日本では軽自動車を除くとHV車の割合がかなり高くなっていて、単純に排気量だけで車格を判断しにくくなってますが、「アジア・東欧」が100万円台、「西欧」が200万円くらい、「北米」が200~300万円台と階層化しつつあります。VWでいうと、up!が150万円で「アジア・東欧」基準で、ゴルフオールトラック(1.8Lターボ)やゴルフGTI(2Lターボ)は350万円で「北米」基準で適正価格化されてますが、ポロの(200万円)やゴルフのトレンド/コンフォート(250万円)は「アジア・東欧」、ハイライン(325万円)は「西欧」の基準で考えるならばやや高価?かもしれません。   それぞれの排気量別クラスにおいて、定評のあるエンジンとは? 「アジア・東欧」クラスでは、やっ