MAZDAディーラーに腹を立てる人がいる理由



移りゆくブランド

 MAZDAはクルマに興味がない人からも「オシャレなブランド」としての認知度が上がっている。10年前と決定的に違うのは「SUV」の存在だろう。ミニバンや軽自動車が多い街中で、抜群のスタイリングを誇るSUVは、そのエレガントさゆえに目立つ。ロードスター、MAZDA6、MAZDA3も素晴らしいデザインではあるが、世界的大ヒットを遂げたCX-5は、エレガントを生む新しい方程式を確立した。今のMAZDAのステータスのほとんどはSUVモデルが形成しているといえる。


CX-5は、かつてのホンダ・プレリュード、スバル・レガシィツーリングワゴン、日産シーマのような「歴史的」な存在と言っても過言ではない。CX-3、CX-8、CX-30などことごとくSUVのデザインは洗練されたものになっている。SUVモデルの破壊力は凄まじいが、その一方で非SUVモデル(ロードスター、MAZDA6、MAZDA3、MAZDA2)には、ちょっと物足りなさを感じてしまう。趣味のクルマとしてハマる人はいるだろうけど、残念ながらもはや乗用車マーケットの中心になるようなクルマではなくなっている。



なぜMAZDAディーラーだけ!?

「SUVのMAZDA」として知名度が上がっていく中で、ネットの掲示板などには「MAZDAディーラーは店員のレベルが低い」みたいな書き込みをしばしば見るようになった。他のブランドではほとんどその手の書き込みはないので、何らかの理由があるのかもしれない。数年前から関東MAZDAのディーラーでは来店時にしきりにアンケートを求められるようになった。項目もそこそこ多くて、いつも回答するのがちょっと面倒だ。ネットの評判を気にしているのだろうけど、アンケートのやり方がスマートではない。「来店して何か気に障ったことはありますか?」の1点だけ書いて貰えばいいんじゃないか!?


いつも利用している関東MAZDA以外に、近隣のトヨタネッツ、トヨタカローラ、レクサス、日産東京、東京スバル、ホンダカーズ、スズキ自販南東京、ダイハツ東京、メルセデス宮園、メルセデスシュテルン、ムラウチBMW、アウディ、VW、MINI、ポルシェ、ジャガー&ランドローバー、ルノー、プジョー、シトロエン、フィアット&アルファロメオ、ジープに行ったことがある。確かにこれらの同じ地域にあるディーラーの中で比べてみると、関東MAZDAが一番無愛想に感じるかもしれない。



サービスが充実しているディーラー

逆に愛想が良くて誰でも満足度が高いと感じたのは、レクサスとムラウチBMWで、比較的に店舗が大きいというのもあるが、複数人のスタッフがタイミング良く出てきて絶妙なサービスを提供してくれる。どんな人が「MAZDAのサービスは悪い」と騒いでいるのかわからないけども、徐々にエレガントさを増しているMAZDAを1度試してみようと、レクサスやBMWのユーザーが訪れたとしたら、接客姿勢の根本的な違いにカルチャーショックを受けるかもしれない。


MAZDAで初めてクルマを買ったときは、試乗の段階で「これだな」と即決だった。ちょっとぶっきらぼうな接客など気にすることもなく、クルマを買った後は半年に1度くらいしか会わないのだからどうでもいい・・・というのが当時の率直な感想だ。クルマそのものにはとても関心・興味があるけど、ディーラーのサービスはどうでもいい。それは今も変わらないのだが、関東MAZDAの同じ店舗で2回即決で買っていることもあるのか、MAZDAのディーラー改革が進んでいるのか、かなり丁寧な接客を受けていると感じている。



買う環境は大事かもしれない

レクサス、ムラウチBMW、メルセデスシュテルンなどは、試乗に行っただけなのに、飲み物にケーキが出てくる。車両価格はちょっと高いけども、下取りもその分高くなるので、MAZDAを新車で買うのと経済的な負担はあまり変わらないし、もしかしたら得をするかもしれないくらいだ。車両の単価が高いので少ない顧客を大事にするため、ディーラーでのサービスには手抜きがなく、来店時の満足度も高いのだろう。当然ながら客層も上品なので、身だしなみがラフな客に不意に遭遇してテンションが下がることも少ない。


考え方次第だけども、これらのプレミアムブランドのディーラーとお付き合いするカーライフも、自分に合ったクルマがあれば、かなり理にかなったものだと思う。IS500、i4、C43AMGなどがちょうど良い(年収3000万円?)と感じたら、MAZDAにはそんなクルマがないので、仕方なくそれらのブランドに移るべきだろう。MAZDAにも個室商談ルームを備えたディーラーが登場しているらしいが。リッチな人々向けのサービスを提供するディーラーは敷居が高いので、ステップアップを考えるなら身だしなみには特に気をつけた方がいいかもしれない。



女性ユーザーを大事にする


MAZDAのブランドイメージが「SUVでエレガント」になったこともあってか、ディーラーに行くたびに上品な格好の女性ユーザーが目立つようになった。スライドドアのミニバンが無くなってファミリーユーザーとは、やや疎遠になったように感じていたが、むしろ子育て世代(30代くらい)の女性ユーザーは増えている気がする。MAZDA2、CX-3、CX-30の3台は男性ユーザーにとってはちょっと小さくてあまり魅力的ではないが、女性ユーザーにはとてもよく似合う。


これらの小型モデルのマーケティングは非常に巧みで、MINIクロスオーバーやアウディQ3のような質感のクルマを、シエンタやヤリスクロスとそこまで大きくは変わらない価格で買える。MINIのような深い世界観を持つブランドに惹かれるユーザーにとっては、実用的な価格ながらもデザインやスタイリングで世界的に評価されているこの日本メーカーを無視できないだろう。MAZDAを選ぶ客層がここ数年でドラスティックに変化していると感じる。


ブランドが選ばれる理由


プラダやバーバリーなどのハイブランドは買わないけど、エポカやコムサなど日本のかなり良質なファブリックにそれなりの金額を払うユーザーはいる。三陽商会もファイブフォックスもMAZDAのように経営危機を叫ばれながらもユーザーに熱く支持されてずっと続いている。「ユニクロで十分」という感性を否定する気は毛頭ないけども、ファスト・ファッションは細部の作り込みが雑に思えることが多くて、それに気づくと残念な気持ちが芽生え愛着が持てなくなって着れなくなったりする。また素材の耐久性が低いため、買い替え頻度が上がり、環境にも悪いので選ばないという人もいるだろう。


自動車にも感じることだけど、日本の大手メーカーの実用性が高くて価格を抑えているモデルには例外なくさまざまなところで「アラ」が見えてしまう。トヨタ、ホンダ、日産で乗り出し400万円以下に収まるモデルで、抜群の完成度と唸らせるモデルにはほとんどお目にかかれない。細部に隙があるという意味では、10年以上前のMAZDA車(第五世代)も、クルマの基本設計はアバンギャルドで非常に魅力的だったが、内装などの仕上げにおいては今のMAZDAに比べれば「アラ」は健在していた。



感性の合うブランドだけ利用すれば・・・


当時のMAZDAには長所と短所が共存することがわかって選んでいた。内装や装備のちょっとした「アラ」など気にならないくらいに、金井誠太さんが「世界最高」を目指して作ったクルマの走りに完全に魅了されていた。その方針がリーマンショック後に利益が出せなくなったからと、魅惑の設計が全面的に見直しがされ個性が失われたが、代わりに「アラ」を排除したオシャレなデザインで有名になっていった。長所と短所が入れ替わってしまったと言ってもいいかもしれない。


MAZDAの本質が変わってしまったことを残念に感じていた時期もあったが、ポルシェ、BMW、スバルなども、あれだけ「アラ」が目立つデザインから、スマートなものへと変わっているし、それに反比例するように設計上の個性も薄くなっている。私のようなポリシーのない「初心者」は、MAZDAの変化になんとなく感性がシンクロして、自身の身だしなみもアップデートしつつあったが、服に興味がない男性にとっては少々イライラする時期だったかもしれない。ブランドはいくらでもあるので満足できるところで買えばいい。文句を言うのはちょっと違うかな・・・。












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