BMW・X 2 vs MAZDA・CX-30


 

日本市場では評価されていない!?

クルマ好きが選ぶブランドでドイツ代表といったらビーエムで、日本代表はMAZDAだろうか。どちらもG20を中心とした比較的に高所得でクルマが普及した市場で隈なく販売されていて、それぞれの地域で普遍的な人気を誇る。ちなみに某有名な広告を一切掲示しないユーザー格付けメディアにおいて、2022年の北米ブランドランキングは2位がMAZDA、3位がビーエムである(1位はスバル)。日本で人気のメルセデスは25位、テスラは23位、昨年は4位だったポルシェは7位まで転落した。


BMWのX2と、MAZDAのCX-30はどちらもラインナップの中では注目度が高いモデルではない。ブランド内のヒエラルキーでも下位に位置しているけど、素晴らしいことにどちらもクルマ好きにアピールできる点がメチャクチャ多い。入門モデルなので自動車カタログなどの扱いはそれほど大きくないし、カーメディアのレビューも下位モデルだからか多少ナメられていて、「初心者におすすめ」みたいな味気ないものが多いけど、この2台のクルマの魅力は全然表現されていない。



トヨタや日産とは方針が違う

確かにコンパクトSUVのカテゴリーなので、ボデーサイズはトヨタC-HRや日産キックスみたいなクルマではある。C-HR、キックス、X2、CX-30は、いずれも北米市場ではそれぞれブランドのボトムSUVを担っている(X2に関しては北米での販売を終了)。そんな事情もあるから同格だという説明は間違っていない。しかしこの4台の完成度を比べれば、北米ブランドランキングの意味がなんとなくわかる。MAZDA&BMWに比べて、トヨタは9位、日産は15位と遅れを取っているのは妥当だと思う。1位のスバルのボトムSUVは、クロストレックだ。


ストロングハイブリッドが主流のC-HRとキックスは、渋滞が多い日中の街中を走るには良いかもしれないが、高速道路巡航すれば燃費はかなり悪化する。それとは逆の特徴を持つのがエンジン派のCX-30とX2で、ブランドアイデンティティに「高速巡航」があるので、ストロングハイブリッドには否定的であり、BEVモデルも既に投入しているがエンジン車の廃止は明言していない。「ストロングハイブリッドか?BEVか?」のトヨタ主導の歪んだ議論は、クルマがわかってない人向けのプロパガンダに過ぎない。拝金主義のAJAJがゴチャゴチャ騒いでいるだけだ。



使われ方


ちょっと馬鹿にした言い方かもしれないが、アウトレット、イオンモール、マクドナルドのドライブスルー、回転寿司チェーンなどでは、道路にまで車列ができていたりするが、そこによく並ぶ人にはトヨタや日産のストロングハイブリッドが適している。間違ってもBMWやMAZDAを買ってはいけない。実際にその手の車列は、MAZDAやBMWには無いのスライドドア車などがよく並んでいるのを見かける。


個人的にはマクドナルドや回転寿司では全くテンションが上がらないので、アイドリングストップを繰り返してエンジンやプラグを痛めてまで行く必要性が理解できない。トヨタや日産のエコカーの性能に疑問の余地はないけど乗り方がスマートじゃないし、エコじゃない。あくまで一方の見解で合ってトヨタや日産のエコファミリーカーのユーザーからは、MAZDAやBMWなどのエンジン主体のクルマなんて、「極悪燃費」や「ディーゼルの振動&騒音」に我慢する変態向けとか思われているのかもしれないが・・・。



CX-30の魅力


トヨタや日産とは設計思想が違うとはいえ、C-HRやキックスとの価格競合が不回避なCX-30は、とても「絶妙」な日本価格で提供されている。このクルマの価値に共感できて、MAZDAの設計思想に合った使い方をする人には、なかなかのコスパだと思う。しかし単純に「価格」と「モード燃費」の比較のみで運用コスト中心に価値を測られてしまうと、C-HRやキックスにユーザーは流れるのは自然なことだろう。それでも光るCX-30の魅力とは、搭載されるすべてのユニットが「中型車向け」の余裕があるエンジンで統一されていることだ。


C-HRやキックスはタイなどの新興国で生産される1.2L級エンジンを電動化やターボ化して使っているのに対して、CX-30は二種類の2L級ガソリンエンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせている(他に1.8Lディーゼルもある)。C-HRにはプリウスと同じ1.8Lハイブリッドもあるが、これも走りが楽しいユニットではない。BEVはいろいろなメーカーで作られているけども、日産のように1.2Lエンジンで給電するシリーズハイブリッドを手掛けるメーカーが出てこないのはなぜだろう!?



禁忌


VWも量販BEVのID.4からバッテリー容量を削り、代わりにポロやゴルフの廉価モデルで使われている1.0Lユニットを載せるだけなので、技術的ハードルは低いと思うが、なんらかの懸念があるのだろう。想像するまでもないけど、日産の1.2Lのe-POWERはエンジン音がやかましい。VWはポロから派生した新興国向けモデルや欧州市場のボトムを担うモデル用として1.0Lエンジンを用意していて、高所得市場向けに付加価値込みで売りたい新型の電動車には、安っぽいエンジンノイズがふさわしくないとか判断しているのだろう。


日産はエンジン音などお構いなしに、ノートやキックスを日本でも販売しているが、やはり3気筒エンジンのフィールは質感はお世辞にも高いとは言えない。このままでは北米市場では全く話にならないので、エクストレイルのフルモデルチェンジで設定された新型e-POWERには、エンジン音が気にならないくらいまで低減されたVCターボという1.5Lの可変ストロークエンジンが採用された。日産が配慮を見せたこのe-POWERこそが、北米や欧州で堂々と売ることができるCX-30やX2の水準に近いものといえる。



運動性能


728万円は少々高過ぎる感じではあるが、X2の最上位グレードである「M35i」は0-100km/h加速タイムが4.7秒となっていて、これはテスラのモデル3パフォーマンスや、ボルボC40の高性能AWD版、BMWのM5やM3とほぼほぼ同等の性能を誇る。車高を1560mmに収め、308psのAWDで1680kgの車体を引っ張る。かつてのランエボなどよりもかなり重いけど同等に早いので、これはトラクション技術の進化なのだろうか。


同程度の加速を持つBEVの多くが車重2100kgくらいあって400ps前後を出力しているが、車重から来る制動のシビアさを考えれば、BEVと「M35i」のどちらがワインディングや高速道路を楽しく走れるかは自明だ。X2はM35iの他に190ps級の2Lディーゼルを搭載した20d・Mスポがある(574万円)。CX-30のボデーにCX-5用のディーゼルを搭載した、MAZDAとは被らない設定のモデルだ。MAZDA6やCX-5に使われる2.2Lディーゼルはある程度は車重があるクルマを引っ張るには非常に優れたエンジンである。


MAZDAとBMWの貢献


日本市場でもディーゼルエンジンによるエコ性能、スポーティな吹け上がりによる走りの楽しさ、大トルクで滑らかに発進する気持ちよさ・・・を存分の享受できるのはBMWとMAZDAのおかげと言っても過言ではない。当初はX2(偶数番のX)にはディーゼルは載せない方針だったようだけど、ディーゼルの進化によって趣味性の高いユニットとしてBMWが認めた結果のようだ。MAZDAと同じく190psまでブーストアップしたユニットは気持ち良い加速を演出する。


CX-30には、ディーゼル車に迫る燃費を実現したスカイアクティブXが搭載されている。これこそが「ガソリン車で燃費を気にせずに存分にドライブしたい」という、X2やCX-30みたいなクルマに合ったワガママなユニットである。CX-5のような車高があるSUVに乗っていると、2台持ちしてロードカーが欲しくなったりする。X2やCX-30は、CX-5ほどのユーティリティはないかもしれないが、1台で2種類のクルマを兼ねているという意味で、非常に価値あるクルマだと言える。





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