クルマはやっぱりイタリア車に限る!!




  クルマ作りへの「情熱」とは
MAZDAの危険なスポークスマンとなっている副社長やデザイン部門の役員、あるいはトヨタの章男社長がやたらと「情熱」に訴えるパフォーマンスを連発している。自動車生産には巨大資本を動員しなければならす、否応なしに中長期の計画に基づいてラインナップがそれぞれ企画され、各部署が下請けとの調整に労力を使い、そのタイトなスケジュールの連続性の中でクルマが作られていくサイクルは簡単には変えられない。市場のトレンドが少しづつ変化しても、それにすぐに対応はできないから、マーケティングを駆使して予測をする。あまりに優秀過ぎるトヨタのマーケティングは・・・カリーナEDや初代ハリアーの発売から20年後に改めて「4ドアクーペ」や「SUV」のトレンドがやって来たりするらしいが。


経営者の力量
自動車産業はあまりにも巨大でビジネスモデルとして「過度なトレンド」とは相性が悪い。できることは周到なトレンド予測に基づく計画を立て実行し、世界の各市場を自らのトレンドに無理やり巻き込んでいくことしかないのかもしれない。世界のカーメディアやコアなマニアがどんなに反論しようが絶対に聞いてはいけない。もう巨大な資本は動き出しているのだから、彼らの自由な意見など取り入れる余地などない。できることは彼らを買収することだ。ちょっと前まで「CVTなんて絶対に要らない」と騒いでいた連中を札束でおとなしくさせる。いつしか「電気CVT」はスポーツ性が備わっている!!とか言い出す奴も現れた・・・。


アメリカ自動車産業の「終活」
フォードとGMはそれぞれ2016年に発売した「リンカーン・コンチネンタル」と「キャデラックCT6」というグループのフラッグシップとなるサルーンを廃止することを決定したらしい。たった3年で生産中止。もはやフォードもGMも「終活期」に入っているんだろーな。フォードは乗用車開発の大幅縮小を宣言済み、GMも重要な開発パートナーだった独オペルを売却。アメリカ国内工場の閉鎖を次々と決定している。保護主義を打ち出している大統領の政策とはあまり整合性が取れていないようだが、アメリカの投資機関の見解では、フォードもGMもアメリカを代表できる成長性が見出しにくいので、産業構造の転換のためにフォード、GMを撤退させ、その遊休プラントを(まだ自動車を諦められない)ドイツや日本のメーカーに売却するんだろうーな。



アメリカで愛される自動車ブランド
ビッグ3の残り1つであるクライスラーは、イタリアのフィアット傘下にあり、北米ではクライスラーのほかダッジ、ジープ、ラムの4ブランド体制となっていて、それぞれがユーザーの支持を受けてかなりのシェアを維持している。クライスラーとダッジは日本からすでに撤退しているので価格の比較ができないが、ジープは日本での販売価格に比べて北米ではかなり割安だ。ジープチェロキーが25000ドルの設定で、これはマツダCX-5、トヨタRAV4、ホンダCR-Vなどと同じ。元々は三菱のCセグシャシーをベースにしていて、同じFCA傘下のアルファロメオ・ジュリエッタなどと同じシャシーを使っているので、マツダでいえば旧アクセラをベースにしているCX-5と同じ。


クライスラーは素晴らしい!!
マツダと同じ価格で、他のブランドとはハッキリ差別化されたキャラクターのエクステリアを持っている。そりゃ人気が出て当たり前かもしれない。シャシーもアウトランダーなどと同じ三菱設計で信頼性も高い。エンジンも世界の三菱が作っているのだから間違いない。フォードやGMで生産終了に追い込まれたフラッグシップサルーンは、メルセデスやマセラティ、レクサス、ジャガーを相手にした「ブランド志向」で勝負したために悲惨な結末を迎えたけど、クライスラーの4ブランドはどれも堅実な価格設定に徹していて、比較的にモデル数が少なく、基本的には小型車を扱わない中型・大型の少数精鋭ラインナップにも関わらず多くのユーザを引きつけている。間違いなく趣味性の高いブランドだ。


奇跡の生存
クライスラーは1970年代に他の大型車ブランドとともにオイルショックで滅ぶ運命にあった。しかし1979年にクライスラーにやってきたリー=アイアコッカの奮闘により業績を拡大した。日本車を研究した「Kカー」と呼ばれるFFモデルが大ヒットした(ちょっと前のボルボみたいなデザイン)。アイアコッカの奇跡は続き、1985年には三菱と提携し基盤を確立すると、1987年にジープを買収。さらにアイアコッカのイタリアコンクションを使いマセラティやランボルギーニを傘下に収める。


ダイムラー=クライスラーの悪夢
転機が訪れたのはアイアコッカの引退後にダイムラーに買収されてしまったこと。三菱のシャシー、ターボ、EV技術を接収するための敵対的買収は明らかで、現在のメルセデスを支えるAクラスとその派生のFFモデルの躍進に三菱のCセグシャシーが使われている。2007年にダイムラーにポイ捨てされたクライスラーは、リーマンショックの中で破産へと追い込まれたが、2009年に瀕死のクライスラーを買収したのがイタリア・フィアットで、その総帥セルジオ・マルキオンネの尽力により、現在の愛されるクライスラーが見事に復活した。


21世紀に起こった奇跡
フォードとクライスラーで大成功したリー=アイアコッカもすごいが、銀行家から転身しフィアット、フェラーリ、クライスラーを瞬く間に立て直しアルファロメオまで復活させてしまったセルジオ=マルキオンネも、カルロス=ゴーンと並ぶくらいの優秀な自動車業界のカリスマであり偉人伝に収録されるべき人物。しかし惜しまれつつ2018年に永眠。来月で1周期を迎える。あまりに突然のカリスマの離脱のショックは大きくフィアット=クライスラー全体が自信を失っている。やっぱりルノー日産と合併か!?


日本のマルキオンネファンは忠実だ!!
彼の死を悼む日本の自動車マニアがかなりいるようで、アバルト、ジープ、フィアットなどの傘下ブランドは軒並み好業績を挙げている。アルファロメオ・ジュリアもアウディA4より売れている!!マルオンネは傘下のブランドに低価格で良質なクルマを作らせた。ジープ・ラングラーは大方の予想とは違いラダーフレームシャシー(耐久性に優れるクロカンやトラック用のシャシー)を継続したし、アルファロメオのFR回帰を実現させ、フィアットには珍奇な2気筒エンジンを導入。さらに存続が危ぶまれていたマツダロードスターに資金を提供し、アバルトやフィアットからOEM販売をした。


「ブランド志向」なんてクソ喰らえ!!
メルセデス、アウディ、BMW、レクサスといった「ブランド志向」が日本の自動車販売で幅を利かせている。もちろんユーザーがそれを好むからメーカーは作るわけで、その市場自体は否定しないけども、世界を大きく変えたリー=アイアコッカやセルジオ=マルキオンネのような「多くの人に喜びを与えるメーカー」を目指す企業経営はこれからもどっかのイタリア人によって引き継がれるのだろう。G7で唯一日本よりも一人当たりの所得が低い国イタリアだからこその経営方針じゃないか!?と思わずにはいられない。





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