2014年6月20日金曜日

ホンダCR-Z のMCには次期NSXやタイプRのヒントが・・・。

  ホンダというメーカーは、今もっとも日本で「誤解」されやすいブランドかもしれません。かくいう私もホンダに対して自ら理解を深めようという努力を怠ってきたことを棚に上げて、何度となくブログ上で、「ホンダのやることは意味不明」みたいなことを書いこともあったような気がします(まあ初心者なんで許してください)。まあ言い訳をするようで恐縮ですが、「ホンダのやる事が難解すぎる」ので、理解するのに途方もない時間がかかってしまうというのはあります。

  エンジンの開発競争は、自動車メーカーの体力を奪う消耗戦になる傾向が強く、最近ではシャシー以上に統合が進んでいる分野になっています。日産のフェアレディZやエルグランドが使うエンジンを救急車にも使ったりしています。ミニバンや救急車と同じエンジンを載せていて、スポーツカーですよ!っていう売り方にちょっと違和感があるかもしれませんが、この日産VQエンジンは6気筒のNAエンジンの中では「世界最高」の出力を誇る名機です。世界のあらゆるメーカーの量産車用エンジンで、これを超える性能のものはないですから、こんなことを言ってもナンセンスですけど、メルセデスやBMWなどは救急車やミニバン以下のエンジンを使っていながら「高級車ぶって」いるに過ぎません。

  トヨタもホンダもこの日産のVQエンジンに肉薄できる水準のエンジンを持っていて、どちらも日産と同じように高級車と高級ミニバンに共通してこれらのエンジンを搭載してきました。ガソリンエンジンへの執着を見せる日産に対し、トヨタとホンダは1997年にHVの販売競争を開始、さらに来年(2015年)からは燃料電池車(FCV)の一般向け販売を相次いで開始する見込みで、環境技術への投資で世界に先行するメーカーと言えます。世界最大の巨大メーカーを形成し、グループ外メーカーへの技術供与にも積極的なトヨタに対し、社外のメーカーと技術の共有をほとんど行わないホンダの技術は、日本の評論家によってその全貌を解説される機会が少なく、ベールに包まれている感があります。

  冷戦終結後の1990年代から、世界の自動車メーカーがM&Aを繰り返しましたが、次世代技術への巨大な投資を先行させていて、今後の見通しに自信を持っていたトヨタとホンダは技術の流出を嫌って、外国資本の参加を拒否し続けました。当時から日産はVQではありませんが、RBという世界最高峰の6気筒エンジンを持っていましたし、直4エンジンならばマツダとホンダが、直3エンジンならばスズキとダイハツが、世界の頂点に位置していました。マツダの技術はフォードグループ(ジャガー、ランドローバー、アストンマーティン、ボルボ等)の基幹技術の中核になり、スズキといすずの技術はGMグループ(キャデラック、マーキュリー、シボレー、オペル等)に吸収されました。米軍に納入される車両やそれをベースに作られたハマーのエンジンはいすずのものを使っています。

  また三菱が独自に開発したターボエンジンとEVの技術もメルセデスによってことごとく接収されましたし、GMグループから離脱したスズキはその後VWに翻弄され、小型車技術の多くを奪われた後に、約束を反故にされるという詐欺まがいにやり方に業を煮やし、現在も訴訟を継続中です。メルセデスは系列の部品メーカーに三菱のターボ技術をコピーさせて生産しているため、現在は大手メーカーでは唯一、三菱からターボチャージャーの供給を受けていません・・・。元々は日本メーカーの技術だったメルセデスやVWの直4ターボが、いまでは輸入車の一番の売れ筋だなんて、いくらなんでもゲルマン民族にやられ過ぎな気がするのですけどね。

  バブル期の日本メーカーが湯水の如く開発資金を注ぎ込んで作った技術が、世界の自動車産業を支えているというのは、日本人としては誇らしい限りですが、地に足を付けて、世界から尊敬されるメーカーとして歩み続けるホンダやトヨタは常に次の世代へと目が向いています。世界の自動車技術が共有され、どのメーカーのクルマも大きな違いが無くなってきた「フラット」な時代での、確かな成長戦略としてホンダは「栄光ある孤立」を選択し、ドイツメーカーや韓国メーカーには存在しない技術を武器に独自路線を歩んでいます。日本の評論家は欧州車には見られない機構を持つというだけで、「語るに値しない」という論調があったりするので、ホンダの技術を自ら進んで解釈して、その先進性を分析しようとする評論に出会うことはまずありません。

  ホンダが昨年(2013年)にHVスポーツカーのCR-Zにマイナーチェンジを施しましたが、そこでさりげなく導入された、コクピットのボタンを押すことでモーターによるアシストを10秒間だけ使うことができるというシステムが、世間で大きく評判になることはありませんでした。日本で使われるほぼ全てのHVはモーターアシストが車載コンピューターの自動選択によって行われますが、それをマニュアル化すること自体は「スポーツカー」というクルマの性格を考慮すれば、歓迎すべきことだと思います。モーターを電動ターボとして捉える見方はスバルのHV参入によって一部では一般的になってきたようですが、ホンダやスバルの設計思想が日本の評論家にある程度共有されるようになるには、欧州メーカーが参入するのを待つ必要があるでしょう。

  エンジン内部の作りがどのメーカーも洗練され大きな差が無くなりつつある中で「過給器のマニュアル化」という試みは「クルマの個性」を重視する視点においてはとても重要なことだと思うのですが、多くの評論家が黙殺してしまいました。しかしこの技術は次期NSXにも使われるでしょうし、おそらく数年後にフェラーリの多くがHV化されるようになった辺りで、大きく脚光を浴びるようになると思います。

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