カローラスポーツ VS MAZDA3ファストバック

 

クルマは何を買ったらいいの!?


人生で最初の愛車選び(新車購入)はとても悩ましい。今ではすっかり王道となって選択肢の豊富なSUVなのか!? 実用性は度外視してでも個性で新しい人生を切り開くピュアスポーツカーか!? もしかしたら事故を起こすかもしれないから、衝突安全性に優れるロードカー(セダン、ワゴン、Cセグハッチバック)にしておくべきか!? 気に入ったクルマがあるならば迷わずそれを選べばいいと思うけど、どれもピンとこない人も少なくないだろう。


自動車メーカーも近年は「営利企業」の側面が出過ぎていて、人気が高くわかりやすく見栄えがするクルマは割高に設定される。10年くらい前ならば300万円以下で日本メーカーのフラッグシップ車が買えてとても満足できたけども、今では同じレベルのクルマが500万円くらいする。買ってすぐに事故ったらちょっと人生狂いそうだ。どこかで割り切ってクルマ選びをしないと「カモ」にされてしまう。案外に「見栄え」を割り切ってしまうことは、今時のクルマ事情に合っていると思う。




自分に合ったロードカー


年間1万キロくらい楽しくドライブを満喫したいなら、狭い道も高速道路も無理なく走れて、衝突安全性もトップレベルに高いCセグハッチバックが良さそうだ。その中でも贅沢を言えばVWのゴルフR、ルノー・メガーヌRS、シビックtypeR、GRカローラなのだけど、車両価格と燃費はCセグの域を超えている。ここまでバカっ早いエンジンじゃなくても、登坂性能に不満が出ないユニットを積んだモデルはいくらでもあるし、どれも十分に楽しい。


ちょっと地味な存在だったトヨタのカローラスポーツが、ビッグMCで北米版の2L自然吸気エンジンをラインナップしてきた。スイフトスポーツと同等の価格で、格上のCセグシャシーで出力も自然吸気で170ps、6600rpmまで伸びる。20年くらい前に、今のスイフトみたいなサイズ&車重でカローラのハッチバックが登場(ランクス / アレックス)し、ヤマハが作った2ZZ-GEという190psのユニットを搭載して過激な走りをしていた。それよりは車重が100kg重く、出力は20psダウンしているが、18.3km/Lのモード燃費と、20年前と変わらない220万円が素晴らしい。





絶対的な価格差


トヨタとしては若者ユーザーに「楽しいクルマ」をアピールすると同時に、ハリアーやアルファードに乗っている既存ユーザーへの増車枠ロードカーとして売りたい狙いがあるようだ。400万円近い出費を覚悟するGR86だと、2.4Lとなった自然吸気エンジンは、ハイオク仕様でモード燃費12.6km/Lなので、距離を走りたいユーザーにとってはちょっとハードルが高い。GR86はMTかトルコンATが選べるので、ミッションにこだわってしまうユーザーだとCVTのみのカロスポは却下されてしまうが・・・。


カロスポと同等の燃費で、出力は190ps(重量はプラス80kg)を誇るクルマもある。近年特に「走りと経済性の両立」に努めているMAZDAブランドの「MAZDA3ファストバック・スカイアクティブX」は、ミッションもMTもしくはトルコンATが選べる。本体価格は285万円と多少は高くなるが燃費と走りを妥協しないユニットは素晴らしい。機能面を考えて現実的に選ぶグレードは331万円のブラックトーンエディションからになるので価格差はもう少し開く。カローラスポーツとの価格差が約100万円となるが、この差はちょっとデカいな・・・。



アフターパーツ込み込み


MAZDA3ファストバックにはスカイXの他にエンジンが3つも用意されている。カローラスポーツは2つしかないのに、企業規模が小さい方が多いなんておかしな感じだ。カロスポと同程度の価格に抑えると1.5L自然吸気エンジンのグレード(226万円〜)となる。正直言ってこのエンジンでは急峻な山岳路や高速道路での立ち回りはちょっとキツい。登坂性能を考慮して上位のエンジンを選ぶと、1.8Lディーゼルだと285万円、2.0Lガソリンだと271万円まで一気にスタート価格が跳ね上がる。この辺のグレードが220万円で賄えてしまうカロスポは強力だ。


どこのカーメディアでも言われていることだけど、インテリア&エクステリアの質感を加味すればMAZDA3ファストバックの価格も十分に納得がいく。ノーマルで乗りたい派ならば、すでに完成形のMAZDAスタイルなので、絶対につけたいアフターパーツも特にない。Cセグハッチバックは特にアフターパーツで個性的に仕上げたくなるくらいのサイズ感であるし、ノーマルでは隙があるのが当たり前だけど、MAZDAはその手間を省いてくれる。




2台とも力作の理由

両車の特徴を表しているポイントの1つが「リアゲート」だと思う。MAZDA3ファストバックは、ワゴンの実用性を否定するような開口部の小さなリアハッチが上方に付いている。フェアレディZのリアみたいである。ベンツ、アウディ、BMWなどのドイツブランド車のハッチバック車の後ろを走っていると、リアのデザインが手抜き過ぎて、クルマを残念に見せるケースがとても多い(ほぼ全車?)。一方でマセラティ、アルファロメオ、ジャガー、ランドローバーなどのイタリア&イギリス車の場合は、リアデザインで巧みに主張していて「只者ではない」感じをプンプンさせている。


MAZDA3ファストバックのリアも、イタリア&イギリスのブランドに負けない存在感を意図してデザインされている。一方でカローラスポーツも、リアゲートの造形は完全にイタリア&イギリス車だ。アルファロメオ・ステルヴィオあるいはアストンマーティンDBXのように、センターが尖って見える厚みを見せる断面は、街中で見かけるととても印象的だ。実質的な先代モデルとなるオーリスの最終形がアルファロメオ・ジュリエッタのリアデザインをパクった!?とか言われていたが、その伝統が後継モデルにもしっかり残っている。



決め手が・・・


クルマの基本設計は、MAZDAをコピーしたトヨタTNGAなので、乗り味はどちらも不満はない。MAZDA好きはトヨタ車を運転するのも嫌いってことがあるけど、カローラは納得できるんじゃないだろうか。ユニットを絞り込んでいるからなのか、トヨタの方がクルマ本体の価格は50万円ほど低く抑えている。しかし最上級グレードGZ(264万円)の装備は魅力で、オプションの本革コンビシートも15万円ほどなので、満足グレードは280万円くらいになる。それでも素晴らしいコスパだ。


MAZDA3ファストバックの満足グレードは、本革シート無しの「ブラックトーンエディション」が331万円、本革シート&運転席パワーシート標準の「Lパケ」が358万円で、このどちらかのグレード買いになる。300万円を挟んで50〜80万円の価格差なので、「走るだけならカロスポでいい」「MAZDA3の高級車感がいい」のどちらの声もあるだろう。どちらも運転支援などの安全装備はほぼほぼ最高レベルのものが付いている。



MAZDAがロマンと言われる理由


他に決め手はないだろうか!?全長4375mmのカロスポと、全長4460mmのMAZDA3ファストバックで、全幅はほぼ同じである。この85mmは公道での取り回しに関しては全く差はないけども、例えば高身長の男性ユーザーならば、隣に立った時に車体が大きい方が違和感がないかもしれない。フィアット500やMINIなど小型であることを特徴とするクルマなら良いが、カロスポもMAZDA3も普通車の平均的なサイズのクルマであるから、身長180cm以上ならMAZDA3かなという気がする。


またこの両車は車重が100kgほど違う上に、ホイールベースもカロスポが2640mmで、MAZDA3が2725mmでやはり85mm異なる。さらにリアサスもダブルウィッシュボーンのカロスポに対して、MAZDA3は車軸式(トーションビーム)を選択している。乗り心地重視のカロスポと、サスのヨコ剛性を意識したMAZDA3で方向性が分かれる。ボンネットが長く車体のセンターに座らせて剛性感のあるサスに変える。「スポーツカーかよ」・・・これに共感するか、ガキっぽいと感じるかは、人による。走ってみた感じだとMAZDA3が好みだろうか?でも独立懸架サスのおかげでカロスポも見事に追従している。









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