2013年12月20日金曜日

「ガラ軽」という表現に違和感

  軽自動車の増税が決まったものの、新車のみに適用という現実的な案に収まったことには、政府に対して一定の評価ができるかなと思います。軽自動車は普通車に比べて大幅な自動車税の割安感もあり、現在では自動車販売の4割に達しています。東京から150kmも離れれば、そこを走る自動車の8割以上が軽自動車か?と思われるほどに普及しています。そんな日本の田園風景で大人気の軽自動車に対して都会の横柄なマスコミが失礼にも「ガラ軽」と揶揄する表現が目に付くようになってきました。

  トヨタの最大のライバルは「ガラ軽」

  日本を代表する軽自動車メーカーと言えばスズキの名が挙がるでしょうか。私の大嫌いな静岡県のメーカーなので、基本的には無視していきたいのですが、「ガラ軽」という言葉はスズキのようなメーカーが日本でしか市場を確保できず、軽規格がない海外で伸び悩むという思い込みがあるように感じます。スズキが軽自動車の技術を日本だけでしか生かせていないのかというとそんなことは決してありません。

  スズキは「大人の都合」でアメリカ市場からは退場を余儀なくされましたが、欧州、インド、中国で果敢に戦果を挙げるジャパンパワーの中核メーカーとして、世界中のライバルメーカーに恐れられる存在になっています。世界販売台数のトップ10のうち日系の自動車グループは4社(ドイツ・韓国はそれぞれ1社のみ)ありますが、トヨタ・日産ルノー・ホンダと並んでスズキが名を連ねています。

  トヨタ・日産・ホンダはともに北米・欧州に生産拠点を設けて急成長の足掛かりとしまし、北米での中型車の販売で大きなシェアを持つようになりました。一方でスズキはインドに進出して小型車を中心にして成長を収めた異例のメーカーであり、インド資本のタタのお手本と言える存在になりました。インド車のルーツはスズキにあると言ってもいいでしょう。

  さらに、ドイツでの競争に敗れGM資本となったオペルは、欧州全域に小型車を展開して完全に息を吹き返しました。その原動力となった小型車の技術のほとんどは同じくGM傘下にあったスズキから受け継いだものでした。欧州では68ps程度の小型車は実はとても良く売れています。イギリスのナンバー1はボクスホールというオペルのOEMブランドです。オペル・アギーラの兄弟車のスプラッシュをスズキはわざわざ普通車扱いでハンガリーから逆輸入していて、一部の欧州車好きの自動車評論家が絶賛していたりしますが、スズキとしては欧州バリバリの人気車を日本でも乗ってみなさいという自慢の「逆輸入」であると思います。

  オペルに限らず新生GMはスズキの生産技術を全面的に取り入れて、小型車を中心に経営再建に取り組み、今では本国アメリカでの小型車市場を主導し、スズキも真っ青になるほどの途上国市場への参入を次々に進めています。とくに伝統あるビュイックブランドでアンコールというスズキの技術を使った小型SUVを中心に展開するなど、GMグループのブランドの核心にはスズキの血が脈々と流れています。

  またスズキはVWとも一時的に技術提携を結び、小型車技術の提供を行いましたが、突如としてVWから提携解消を打診され、これが両社にとって友好的な決別にはならず、訴訟へと発展しました。スズキの技術を吸収し終えると提携を解消し、スズキの主戦場へVWグループのシュコダなどの生産車を投入するという倫理感に欠けるVWの血も涙もない戦術にスズキが憤慨したのも無理ないでしょう。ただVWがインドで大きくシェアを伸ばすなどには至っていない模様です。

  いずれにせよ、トヨタと肩を並べるGMとVWの躍進を支えているのは、何を隠そう実はスズキの小型車技術なわけです。この事実を認識せずに、「ガラ軽」という的外れな提議を自動車雑誌まで行うのは困ったことです。事実スズキのライバルであるダイハツも実は欧州では一定の実績を挙げていて、しっかりとダイハツブランドで欧州主要国で展開しています。もちろんドイツでも複数の車種を販売しています。ホンダも含めて「ガラ軽」などと余計な心配されるのは心外なんじゃないでしょうか。

 

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