2019年 入門に最適な一台とは?(輸入車編)


輸入車は1000万円〜が本物!!
失礼を承知で本音を申し上げれば、ベースモデルの本体価格500万円以下の輸入車モデルなんて本来は「無視」すべきだ。前回勝手にご紹介させてもらった「日本車編」ではBセグのデミオ以外は200万台後半で乗り出しは300万円以上というモデルばかりだった。世界一コスト管理が優秀な日本メーカー車ですらそれくらいの価格なのに、海外で生産し日本市場に適応するようにわざわざ仕様を変える手間があり、それでも年間に1万台はおろか1000台すらも売れるモデルがほとんど無いというメチャクチャ悲惨な「輸入車地獄市場」・・・。


安い輸入車はデフレマインドの牛丼みたいなもの・・・
当然ながらそれらにかかる費用はほんのわずかな販売台数による売上に賦課される。さらに海外の生産工場から日本まで運んでくる費用もバカにならないし、ほんのわずかな台数を販売するために、日本の細長い地形の各地に置かれるディーラーに関わる費用も考えると、500万円以下の価格設定なんてほとんど無謀でしかない。まともなクルマになるはずはないことくらい想像がつくもんだ・・・。


クルマの知識に自信があるなら「輸入車」に挑め!!
日本で売れている輸入車といえば、MINI、Cクラス、ゴルフだけども、それぞれに価格を抑えるカラクリがある。MINIはBMWグループがホンダシャシーをベースに組み上げた汎用設計を使っていて、全面刷新を行わずに古い設計を使い続けてコストを抑えている。故にNVHへの対応は物理的に無理になっている。設計ベースのコストを抑えるやり方だ。Cクラスも生産拠点を中国に移し、同設計だと言い張るSクラスとは似ても似つかないノイジーな乗り味が補正されない。おそらく手抜きだ。そしてゴルフも日本向けにはエンジンの刷新をいつまでも先送りするなど、利益確保に走っている。・・・つまり500万円以下の輸入車がゴミなのではなくて、500万円以下でマトモなクルマを日本で売るのがほぼ無理な話だ。・・・でも無理やり選んでみましたよー。これだったら「アリ」なんじゃないの!?っていうベースモデル500万円以下の輸入車。



第5位 アウディTT(471〜1005万円)



ドイツが生んだインテグラ
このクルマはスタイリングから魅せられるのか!?それとも際どい長さに縮められたホイールベース(2505mm)から想像するスリリングなドライビングに魅せられるのか!? ちょっとトーンダウンしてしまうかもしれないけど、VWゴルフのシャシーを縮めて、全高を1380mmに抑えたクーペボデーを被せたギミックマシンだ。横置きFFベースの安定感のある走りに加えて重心高も低く抑えてあり、上級モデルはさらにどっしり構えたAWD。ドイツブランドの改造乗用車という意味ではメルセデスSLCやBMW・Z4みたいな位置づけに過ぎない。


日本を走るためのモデル!?
SLCやZ4は500万円を超えてしまうのだけど、その2台とは全く違う魅力がある。とにかく速い。特に山岳路ツーリングをハイペースでやりたい人には、単純に「機能性」だけで他のモデルを押し切るだけの説得力がある。日本有数の峠路を求めて信州路、紀伊路、四国路、阿蘇高千穂路に繰り出したい人には納得の一台だ。なんで日本車にはその手の走りを得意とするモデルが少ないのだろう。まあ500万円以下でというならシビックtypeRという選択肢はあるけども・・・。




第4位 アルファロメオ・ジュリア(446〜1132万円)



不思議なクルマ
アルファロメオはその少量流通が故に日本市場の正規価格では、ほぼほぼプレミアムブランド価格・・・他のプレミアムブランドも含めて、思いっきり値引きするくせに定価に関しては完全に「見栄の張り合い」というバカ過ぎるバブル世代のご都合で決められている。そんなモデルは徹底無視したいのだけど、このジュリアだけはそんなプレミアム価格がどーでもよくなってしまう!?それだけの魅力を持っている。興味がある人はぜひ自分と相性が合うかどうか試してみよう。


イタリアは正義
フェラーリ、ランボルギーニなどイタリアのスーパーカーブランドは世界中にファンを持ち華やかな印象だが、イタリアの自動車産業はあらゆるカテゴリーにおいて「堅実」だ。スーパーカーはあらゆる意味でスーパーカーであり、3000万円の価格に十分過ぎるくらいに見合った内容の作り込みになっている(回転数だけでも別格、マクラーレンとかいうフォロワーが現れるのも納得)。マセラティのセダンは同程度の価格帯のドイツの高級セダンよりもしっかりと作り込みがされていてその世界観や完成度は非常に満足度が高い。必要とあらばカロッツェリアにデザインを依頼し、あっさり世界中のセレブのハートを射止める。


しぶとく生き残る
そして何よりイタリアの伝統が極まる小型車がまた素晴らしい。独自の自動車文化が生んできた自己主張を決して捨てることなく、極東の自動車大国が生み出した自動変速MTや直噴ターボ、さらにはFF車の前輪をダブルウィッシュボーンへ変えるといった柔軟に吸収する姿勢はドイツ、フランス、イギリスにはない良さがある。MINIがウケれば、フィアット500を作ってみる。プレミアム車のニーズが高まればアルファロメオをFR化するなど時流をうまく読んでいる。


日本メーカーに通じる美しさ
G7諸国を国民一人当たりのGDPでランク付けすると、アメリカ、カナダ、ドイツが上位3国であり、下位4国は非常に接近していて僅差でフランス、イギリス、日本、イタリアの順番だ。一人当たりの国民所得が低い国ほど、クルマ作りが堅実なのではないか!?・・・そんな仮説を数年前から持っている。所得が低い国ほど無駄なクルマは作らなくなるし、それは国民生活の実情や文化を色濃く反映してガラパゴスなものになるだろうけど、その地に足がついたクルマ文化だからこそ、価格に十分に見合った感銘を与えてくれるモデルが次々と出てくる!?アルファロメオのジュリア/ステルヴィオ/4Cや、スズキのジムニー、トヨタのプラドなど。他にもマツダや三菱などとても慎ましくも高性能なクルマをさりげなく作るから、彼らの製品を「美しい」と感じさせるのかもしれない。そしてアルファロメオもまた美しい。


第3位 VWゴルフGTI(395〜409万円)



良いクルマの定義は簡単には変わらない
このクルマはとても良いですよ!!現行のフォルクスワーゲンから選ばなければいけない!!という「縛り」があるなら迷わずこれを選ぶ。デザインも走りも特別な何か冴えたものがあるわけではないし、ボデータイプは乗用車の王道の一つであるハッチバック。ホンダ、トヨタ、マツダ、スバルを日本の基準にするならば、キャビンの居住性は狭いし、特段に静粛性でアドバンテージがあるわけではない。12.Lだか1.4Lだかを搭載しているベースモデルのゴルフは定価で250万円まで下げてさらに値引きして捌いたようだが、そんな涙ぐましい努力をしているVWならばちょっとぐらい日本のカーメディアにカネを渡して他のメーカーの悪口を書かせたとしても大目に見てあげてもいいんじゃないか・・・。


日本メーカーを変えた!!・・・というのはある意味で事実
もともとは6気筒エンジンを搭載していたゴルフGTIシリーズの歴代の走りはインパクトがあったようで、トヨタは2000年ごろから始まる「欧州戦略」においてブレイドというハッチバックに3.5LのV6を積んだりしていた(大失敗だったけど)。マツダもアクセラに「MS」を設定するなど、明らかに影響力の強さを見せつけていた。豊田章男社長が就任する前の「ビジネス」に徹するトヨタに「ブレイドマスター」を作らせたという偉業は永遠に語り継がれるべきだ(今のトヨタならばそこそこ売れるんじゃないか!?)。


価格とスペックのバランスが素晴らしい
2Lの直4ターボになって「走り」と「経済性」の両立という意味でも存在価値=競争力はかなり高い。MT車ならば400万円を下回る定価で、おそらくどのグレードでも乗り出しでも400万円以下で済むんじゃないだろうか。内装の豪華さを求めるのであれば、TTやジュリアの方がオススメだけど、街中であまり目立ちたくない人にはとても納得できるパッケージ。そしてTTやジュリアより優れているのは長距離適正の高さ。肩に力が入らない気楽な運転であらゆるペースに対応できてしまう。TTやジュリアはややピーキーなハンドリングで、某日本メーカー(広島系)の電制ステアによる高速巡航性の確保などが十分に取れていない。よってこのゴルフGTIくらいのニュートラルなハンドリングがちょうどいい。ワインディングならTTやジュリアの勝ちですけどね。広島系メーカーのディーゼルよりもレスポンスに優れた2Lターボが載ってこの価格は決して不満ではないですね。


第2位 ジープ・ラングラー(459〜530万円)



ラングラーこそが「輸入車」
せっかく輸入車を車歴に加えるのであれば、思いっきり尖っているモデルを選ぶことが満足感につながるかもしれない。名前こそ誰でも知っている「ジープ」ブランドですが、他のメーカーのシャシーを使っていない唯一のモデルがこのラングラー。新型になってバカデカくなり、「存在感」が好きな日本市場でそこそこのプチブレイクを果たすのではないか!?と予測している。本国アメリカでもジープブランドは非常によく売れていて、毎月10万台以上を売り上げるフィアット=クライスラーグループ(フェラーリ、マセラティは除く)はトヨタやホンダと並ぶ米国市場のトップランナーだけど、そのグループの中核が「ジープ」。他にダッジラムを有する「ダッジ」他にも「アルファロメオ」「フィアット」「アバルト」「クライスラー」から様々なエッジの効いたモデルが販売されている。アメリカでは124スパイダーの人気でMAZDAMX-5ミアータ(ロードスター)の売れ行きが鈍くなっているとか・・・。


絶滅危惧種「アメ車」
「ジープ」が地元の下請けにラダーフレームを作らせて販売するラングラーは純然たるアメ車。日本に導入されているピュアなアメ車設計はもはやラングラーとシボレー・コルベット、キャデラック・エスカレードだけになってしまった。テスラを除けば、あとは日本車かドイツ車の真似に過ぎない。コルベット(1209万円〜)やエスカレード(1371万円)あるいはテスラ全車の日本価格を考えれば常識的な価格設定のラングラーは「最後のアメリカ」と表現してもいいんじゃないか!?


第1位 BMW3シリーズ(452〜632万円)



歴代最良のBMWが復活!?
新型になってかっこ良くなったなー。やはりビーエムはクールでスタイリッシュでなければならない。7シリーズ、5シリーズと二回連続で不評を喰らえば、さすがに鈍感なビーエムでも手を入れるよなー。どこのメーカーの真似だ!!ってのは野暮なのでやめておくけどさ、やっとボデー全体を考えたコーディネートをしてきた。スタイリッシュに見えるのは当然で全高が変わらないのに全長は4645mmから4715mmまで伸びた。これでもう「寸足らず」な3シリーズとは言わせない!! BMW史上最高の評価を得た名車であり、私自身も最も好きな欧州車としてたびたび絶賛させてもらっているE39型(3世代前の5シリーズ)とほぼ同じサイズなんだってさ。


ビーエムの限界を超えたプロポーション
免許取り立ての頃の英国雑誌のスポーツカー特集にF39系の「M5」が出てた。996よりも360モデナよりもずっと魅力的だったし、S2000、インテR、R34、エボ6が束になってかかっても敵わないエレガントさ、気品が備わっていた。当時の日本式スポーツカーは鈍臭買ったよ(NSXをのぞいて)。今でもE39のデザインは歴代BMWで最高だと思う。キドニーグリルの両脇に大き過ぎず小さ過ぎずのヘッドライトユニット。直6だかV8が収まるセンターが高いボンネットはグリルのサイズに合わせた絞り込みラインを見せる。そしてE39系といえばそのサイドシルエットの美しさ。デザイン自体は某日本メーカーの大型サルーンをパクっているのだけど、シルエットの完成度はそのオリジナルを完全に超えてしまっているこれはBMWが誇る「遺産(レジェンド)」と言っていい。しかしその伝統は次のデザイナーにあっさり否定されたが・・・。


散りばめられたビーエムの記憶・・・
E39の信者ならば、ここ2世代くらい続いているあの「ブタ」のような6シリーズのスタイルは絶対に許せないはずだ(まだE63は良かったけどさ)。一般にクリス=バングルが悪いとされているけども、バングル時代のデザインはまだ気品があった。そのあとに続くデザインがあまりにもナンセンスだったと思う。バングルの目指した「モダン」解釈を追求できるだけの才能がなかったんじゃないの!?現行の7シリーズ、5シリーズははっきり言ってトヨタ(クラウン)&レクサス(LS)よりもずっと酷いデザインだった。しかし続く3シリーズはE39が残した「黄金比」にうまくハマったんじゃないかと思う。特に後ろ45度くらいから見るリアビューはこれまでのBMWとは完全に一線を画す存在だ。バングルへのリスペクトを示すようなダックテールが印象的だ。



↓相当前に書いた記事。ビーエムの開発者が読んでくれたのかな!?
「BMWベースブランドのセダン・クーペはもう日本から撤退でいいと思う」

↓永遠の名車E39


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