2016年1月16日土曜日

レクサスGS-F ニッポンの高級車事情

  ユーザーに対して「クルマにお金をかけましょう!」と積極的に「啓発」するコト無くして、高級車の販売は成立しない・・・それがネット時代の常識になりつつあります。誰もが中古車販売店の在庫リストに手軽にアクセスできるようになって、メルセデスやレクサスの最上級セダンが実際にどれくらいの価格で流通しているのかがバレバレです。メーカーが付ける本体価格と実際の中古車価格の間には思っていたほどに相関性ななく、日本でどれくらいの販売台数なのか?が最も重要なポイントになっているようです。

  大雑把に言ってしまうと、ブランド全体で年間5000台以下に留まっているブランドの中古車価格は想像以上に高いです。具体的にはルノー、プジョー、シトロエン、DS、フィアット、アルファロメオ、アバルトといった比較的に廉価なブランドでも、実際に探すと結構な価格です。一方で、メルセデス、アウディ、VW、BMW、ボルボ、ミニの「6大輸入車ブランド」は、供給過多なようで結構あっさりと予算内で欲しいクルマが見つかるのではないでしょうか。

  輸入車に比べて圧倒的なシェアの日本車は、当然にそれよりもさらに安いはず!なのですが、2005〜2011年くらいの年式の高級車は輸入車にシェアを奪われたために台数が少ないようで、不人気の割にそれなりの価格で推移しています。2007年の暮れに発売された日産GT-Rは、中古車価格が下がらないような配慮をするとメーカーが宣言したクルマで注目されました。発売時から反響は大きく、777万円から漸進的に価格を1000万円まで上げるなどして、販売台数を上手くコントロールしているようで、中古車価格も500万円〜と見事に高止まりしています。

  「値上げ」をしない(できない)ブランドは、日本の高級車市場から自然淘汰される。これは中長期的な視野で見れば、どのブランドにも当てはまる真実だと思います。最近の10年で大きく価格が上がったクルマと言えば・・・「ポルシェ911」でしょうか。このクルマは3世代以上前のモデル(俗に空冷と呼ばれる)の中古車価格が急上昇するなど、もはや投機用商品として認知されつつあります。300万円で買って2年乗って400万円で売れた!なんて話も・・・。

  ポルシェ911に限らず、「値上げ」されている希少モデルならば同様のことはしばしばあるようです。例えばロータス・エキシージというスポーツカーもこの数年で600万円台→1000万円まで価格が上昇しましたが、やはり中古車で同様のことが起こっていて1年乗ったけど、買った価格と売った価格が同じだった!(実質値上がり)なんてことは珍しくないようです。・・・ただしスーパーカーを除くと、輸入車ではポルシェとロータスくらいですかね。

  スポーツカーに関しては日本車も熱いです。最終型ランエボは、20年前と比べて価格は約2倍になりました(200万円→400万円)。ライバルのスバルWRX STIも昨年の10月に発売した限定モデル(S208)がなんと600万円!!!でしかも即日完売!!!カタログモデルも400万円に迫る水準まで上がっていますが、とんでもない中古車価格が付くのは限定モデルです。

  さてさて・・・日本の高級車といえば、安心して買えるサポート体制に定評がある「レクサス」が今後の展開のカギを握っているわけですが、昨年発売したRC-Fに続き、いよいよGS-FというV8エンジン搭載のモデルが登場しました。RC-Fがおよそ1000万円だったので、ボディが大型で車格も上がるGS-Fの価格が注目されましたが・・・意外にも1100万円に落ち着きました。果たしてこの価格でそれなりの中古車価格が維持できるのでしょうか? もちろんこのクルマの最終的な売れ行きにも左右されるでしょう。この価格設定に吸い寄せられる富裕層は一定割合はいると思われるので、それなりには売れることが予想されます。

  ちなみにこのGS-Fと同じくらいの車格を誇るライバルモデルの「BMW M5」ですが、残念ながら中古車市場におけるプレミア感はほぼ無い状況で、新車価格が1500万円にも関わらず、7年以上(車検3回)経過したモデルでは300万円以下の価格帯で在庫車がダブついています。これが1800万円する「E63 AMG」でもやはり7年で300万円という水準は変わらないです。これだけのモデルが300万円でもなかなか買い手がつかない・・・これはBMWやメルセデスのブランド全体の価格帯が、この数年で大きく下がっていることにも影響を受けているのかな?という気がします。同じ高級セダンでもポルシェやマセラティが展開するものは、いくらか高い評価を受けているようで、どちらも本体価格が1000万円程度にもかかわらず「M5」や「E63AMG」よりも高い水準にあります。(ポルシェ、マセラティも今後はどうなるかわからないですけど・・・)

  これらから判断すると、現段階ではレクサスのカタログモデルでは、中古車価格を高い水準で維持することは期待できない!と思われます。高級セダンを所有するとどんないいことがあるのか? これが全く示せていない現状では、せっかくの「GS-F」の開発が徒労に終わってしまうのかな・・・という気がします。「世界のトヨタ」の世界標準プレミアムブランド・レクサスですから、なんとか知恵を絞って、新世代の高級セダンを楽しむトレンドというものを新たに作っていってほしいとは思いますけども、やはりレクサスの「一人相撲」ではなく、日産やホンダを巻き込んだ開発合戦を演出していかないと難しいかもしれないですね。2000年頃の「アリスト・ターボ」vs「セドグロ・ターボ」の世界最速セダン対決みたいな盛り上がりが懐かしい限りです。


リンク
最新投稿まとめブログ

0 件のコメント:

コメントを投稿