珍車登場!! 「アウトランダーPHEV・S」479万円・19.2km/L

  日本のカーメディアがほとんど報じないことですけども、三菱自動車は海外ではとても人気です。特にアメリカやドイツなど自動車先進国では大人気です。かつては旧通産省の言いなり(自衛隊から随意契約取るため?)になり、「三菱は国家なり」という社是を生み出す「国粋主義的」な立ち位置から、マスコミに嫌われているみたいですけど、率先して貿易摩擦解消のために世界中に工場を建てたり、ヒュンダイ/プロトン/一汽/上汽といったアジアの新興メーカーから、フィアット/VW/BMWといった欧州の「どん詰まりメーカー」にまで幅広く技術供与を行い、外務省とも良好な関係にあったとか・・・。

  そんな三菱自動車ですが、「国粋」ゆえにか、本体の三菱重工の意向もあってか、2000年頃に巻き起こった、業界再編の流れに乗ることもなく、現在も年産100~150万台規模で推移していて、「組み立て」に関しては中堅規模に甘んじています。当然に米国、豪州、オランダの工場にサプライチェーンを伸ばすバブル時代の手法は、「IT&チャイナ」の時代には時代遅れもいいところで、次々と工場を閉鎖しています。アメリカでの生産は昨年で完全に終了していて、フォードが日本から撤退して極東&ASEANの「ローカル」に集約させています。三菱も競争が激しい米国から撤退の意向を持っているようですが、三菱がこれまで培ってきた「高性能」なイメージはそう簡単には北米から消えずに、地元のディーラーからの熱いラブコールで新型車投入が全くないままに年間10万台超の販売を続けています。

  ドイツでも相変わらずの人気です。日本では知らない人も多い見たいですが、ドイツのカーメディアを読んでいると、三菱のAWDはやはりアウディクワトロの上を行く!!みたいな絶賛記事が出てきます。ドイツ国内でユーザー評価による「品質の高いメーカー・ベスト5」に入るのは、メルセデス、トヨタ、マツダ、三菱、ポルシェ。「三菱inドイツ」では「水島のランサー」「岡崎のRVR」「岐阜のパジェロ」「チョンブリのトライトン」 世界的に有名な「三菱・四天王」が一堂に会しています。この4モデルの実力を知らないで、「ドイツ車はやっぱすごい!!」とかステレオタイプに言ってる日本のオッサンはマジで恥ずかしい・・・本当はアフリカ製なのに。

  三菱自動車を安易に批判する一般人やカーメディアに言いたいのは、三菱の直噴ターボがなければ、VW、BMW、フィアット、PSAは全て経営が行き詰まっていたと思います。しかし欧州メーカーを追い詰める可能性があったヒュンダイや中国ブランドのほぼ全てが三菱設計のエンジンを使っています。メルセデスやスマートのFFモデルも三菱の設計を使って作っています。そして北米で圧倒的な販売を誇るピックアップトラック3シリーズを開発したのは、フォードとGM。それからクライスラー・・・ではなくて三菱です。・・・そんなことを知ってか知らずかわかりませんが、「もう三菱は退場でいいよ!!」とか年配のオッサンが言ってたりすると、こんな「アホ」が偉そうに威張っているから日本社会はダメなんだろうなーと憂鬱な気分になります。世界中のメーカーが三菱の技術を理解して、クルマを作っているのに、日本のオッサンはわかってない・・・なんて。

  さて右ハンドル国ということもあって、イギリスで最も売れている「プラグイン・ハイブリッド」となっている三菱アウトランダーPHEVに、最上級モデルの「Sエディション」が設定されました。価格はなんと479万円。レクサスを除く日本メーカーのブランドで四捨五入して500万円という価格が成立するモデルは、そう多くはなく、スーパースポーツやインフィニティ車、アキュラ車を除けば、マジェスタ、クラウン、アルファード/ヴェルファイア、ハリアー、フェアレディZ、エルグランドくらいしかないのに!!世間では320万円のアルファードに乗っている奥様がセレブ顔しちゃうというのに、479万円なんて!!贅沢すぎるーーー。

  これはまさに例の「珍車」ですねー。俗にいう「三菱だから存在するクルマ」ってやつです。旧財閥系の三菱は、三菱商事、三菱東京UFJ、三菱地所、三菱重工、三菱電気、三菱ケミカルから・・・三菱鉛筆まで東証に上場しているだけで18社もありますが、これらの従業員が乗るクルマとされる、やたらハイソサイエティなモデルです。代表的なのが、メルセデスと互角の性能を誇ったと言われる「デボネア」。かつては「デボネアAMG」というモデルもありました。AMGってもちろんあのメルセデスの手作りエンジンファクトリー&チューニング部門のAMGです。「珍車」でしょ!!

  この「アウトランダーPHEV Sエディション」もなかなかですよ。なんで479万円もするのか!? ベースモデルにオリジナルパーツをあれこれ付けました!!みたいな「デコ仕様」という訳ではなくて、相当に中身に手を入れています。479万円ですから当然ながら「衝突安全ブレーキ」が付きます。圧倒的なバッテリー容量を誇るPHEVですから、できることですけども、「エンジンかからないボタン」というのが付きました。夜中にGT-Rのエンジン掛けると近所に気まずいですよね。スーパーカーのユーザーもご近所トラブルを防ぐために、自宅から離れたガレージに保管していてそこまで二輪車かセカンドカーで行く人も多いのだとか。

  それだけじゃないです。サスペンションに付くダンパー(ショックアブソーバー)に、ドイツのビルシュタイン社の専用チューニングのものを装備。一体何がしたいんだ!?「最強のSUV」でも作ろうというのか? 確かにベース車のアウトランダーはSUVとしてはボデー剛性も高く、衝突安全基準でも好成績を収めていて、JNCAPの乗員保護93.17はなかなか凄まじい得点です。ちなみに同クラスのBMW・X1は80.53という軽自動車並みです(ここだけの話だけどBMWに喜んで乗るやつはアホ)。

  アウトランダーには、ランエボ譲りの「アクティブ・ヨー・コントロール(AYC)」が搭載されていて、これは今でも世界最先端のトラクションコントロール機能で、日産の「ATTESA-ETS」やホンダの「SH-AWD」やマツダの「Gベクタリング」など日本メーカーが熱心に開発しているセンサーを張り巡らせて、AI的自動運転の要領で外輪の増幅トルクによって運転を支援するシルテムですが、三菱のAYCが圧倒的によく曲がる(高い完成度)と評判です。日本のAWDに乗ってしまうと、BMWやメルセデスなんて・・・何の技術もないなーってわかる。三菱はこの「Sエディション」でドイツメーカーの弱点を突いて勝負してきたんですね。早く英国メディアの「トップギア」で限界性能をチェックしてもらいたいものですねー。

↓米国メディアです。三菱は撤退したいはずなのに、ユーザーは盛り上がってます。

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