CX-5マイナーチェンジ 「e-POWERより加速が鈍いSUVでは満足できない」

 

ガソリン車を買うなら・・・

初心者が主張するのは生意気過ぎるかもしれないが、長く楽しめるマイカーを買うならば「ポルシェ」か「MAZDA」にすべきだと思っている。個人の価値観に過ぎないと言われればそれまでなんだけども、日頃ドライブをしていてクルマについてあれこれ気がつく点があるのだけど、この2つのメーカーに関しては不思議と買ったことを後悔するような要素が少ない。新車購入後にトラブル続きだったりすれば、さすがに嫌になるだろうけど、この2メーカーは故障に強く信頼性はかなり高いというデータもある。



価格なりに良いもの

MAZDAもポルシェも欧州市場ではスポーティなイメージが強いブランドである。大衆向けメーカーとして捉えられている大手の日本メーカーの中にも、GT-R、シビックtypeR、レクサスLSなど欧州の高速域でも余裕で通用するはいくつもあるが、欧州でスポーティなイメージを獲得しているブランドは、ラインナップ全てに洗練された走りが宿っている。ポルシェ、MAZDA以外にもスバル、BMW、ジャガー、アルファロメオなどもやはり「スポーティ」なブランドとして長年クルマをこだわって作って来た。これらのブランドのクルマを日本で買うとなると、ボトムグレードのモデルでもそこそこの出費を強いられるが、仕方のないことかもしれない。



ブランドイメージを大事に

初心者にとっては「スポーティ」という曖昧な言葉は、やや使い方に困るのだけど、個々のモデルの形容というよりはブランド全体の「方向性」を示す際に有効な気がする。日本では自動車メーカーとは様々な乗り味のクルマを用意する総合自動車メーカーが主流だけど、欧州ではブランドごとにイメージを絞ってクルマを作る文化が色濃く残っている。そんな欧州市場で「スポーティ」なブランドとして認知されるには、ただただハイエンドなスポーツモデルを放り込めばよいわけではない。トヨタやVWの代わりとして一般ユーザーが買えるくらいの金額で、洗練された走りをもつクルマによってラインナップを構築する必要がある。



明確な走りの差が

これらのブランドのモデルは、一般的な特徴として「走りに余裕」がある。アクセル開度に合わせて可能な限りエンジンを回し続ける設定で、息切れすることなく中速域でもさらに力強く加速するように躾けられているものが多い。エンジンだけでなく、ミッション、シャシー、タイヤ、ステアリングフィールに至るまで日本市場よりも数段階も速いスピード領域となる欧州の走行環境を踏まえて余裕を作り出している。トヨタ、日産、ホンダの日本向けスペックの大衆向けモデルも2020年頃からレベルが上がってきたが、それでもまだまだ歴然たる差がある。



EV走行に負けない強さ

しかし昨今の日本市場には運動神経の良いコンパクトモデルが増えている。日産がe-POWERを発売し、なかなかの加速のコンパクトカーが街中に増えている。ダイハツからも同様のシステムが発売されトヨタにもOEMされるので、今後もますます増えるだろう。先日も夜中に新青梅街道でオラオラと走るオプションパーツが満載のノートe-POWERがやってきた。信号待ちの際に左車線に入って来てシグナルグランプリを仕掛けて来たようだ。e-POWERのフル加速がどの程度のものなのか、車重1610kgで188psのSUVでちょっと相手なりに合わせてエコモードで加速してみた。ノートe-POWERも1200kg越えの車重ゆえに、600kg台ですっ飛んでいく軽ターボよりは出足はもたつく印象ではある。モータートルクでの二の足が速いと思ったが、こちらもMAZDAのシルキーな加速で背中を押される感覚でグイグイと進む。



6ATの良さ

e-POWERの性能を知りたかっただけなのだが、予想外にMAZDAのクルマ作りの懐の深さがみて取れた。MAZDAにしてはソフトな乗り味と遮音性の高さが売りのCX-5だけど、MAZDA車として売る以上は、「余裕」のある操縦性と、速度域それぞれで躾けられた豊かな乗り味が、後からじわじわと出てくる。2.5L自然吸気と6ATの組み合わせゆえの「非日常」な乗り味だ。日本のカーメディアは2.5L自然吸気エンジンに6ATが組み合わされたパワートレーンがCX-5の最大の弱点だと散々に騒いで来た。「時代遅れ」だと言いたいらしい。私のブログにも「MAZDAのATは古過ぎる」と決めつけてかかるコメントがよくやってくる。多段化で燃費と静粛性に一定の効果はあるだろうけど、ハイオクを使う訳でもないし、静粛性に関しては8速AT搭載したモデルよりもMAZDAの方が・・・。



多段化のデメリット

2012年からMAZDAのトルコンATは5速から6速へと置き換わった。そのどちらも所有して乗ったが結論としてよりスポーティさを感じさせてくれたのは5速の方だった。変速スピード自体は6速の方がやや速いかもしれないが、5速から6速にかわり制御がかなり煩雑になった印象で、ワインディングを走っていても「宙ぶらりんな」アクセル感覚で空走している時間がやや長くなった気がする。BMWやボルボの8速ほどではないけども、登りに差し掛かった時にスムーズにトルクがかかる感覚が乏しく、端的に言ってしまえば「燃費重視のもたつく制御」になっている。ゆえに「Sモード」なんてシステムが追加されるのだろうけどさ・・・。



ミッションは自社で作るもの

多段化されて制御があれこれ入るミッションが「最新型」だとするならば、6ATは確かに古臭いのだろうけど。メルセデスの自社製ミッションに、変速スピードで明確に劣る6ATで対抗していた時代(2000年頃)のBMWは「スポーティ」ブランドの代表として輝ける存在だった。それがまるで多段化とトレードオフな形で「スポーティ」のイメージが薄れてしまっていった。厳しいことを言ってしまえば、そもそも自社で積極的にミッションを作ろうとしないのだから、ポルシェやMAZDAと同じ立ち位置をキープするのは難しいだろう。さっさとEVへ転換しようとする意図もわからなくはない。これはジャガーやアルファロメオにも同じことが言える。




英国カーメディアのMAZDA評価

CX-5のビッグマイナーチェンジがあり、英国カーメディアでもレビューが出ていた。「CX-5は背が高く重量もあるSUVだけど、ダイレクトなステアリング、力強いグリップ、印象的なほど機敏な動きをする。佇まいはVWティグアンと変わらないが中身は『lumbring beasts』だ」と冒頭に紹介されている。さらに付け加えると「MX-30とは同じメーカーのクルマとは思えないほど味付けが違う」とも書かれている。英国版CX-5ではディーゼル150ps版、2Lガソリン(MHV)165ps、ディーゼル184ps版にはMT とATの両方が、2.5Lガソリン194psは6ATのみが設定されている。MTがまだまだ多い欧州ではATの多段化についてあれこれ書かれたりしない。



2.5Lガソリンは最後のチャンス!?

欧州市場では独特の自動車行政が行われていて、CO2の排出量が超過するとメーカーに罰金が課せられるらしい。2.5Lガソリンをあまり売りたくないMAZDAは英国市場にはLパケ相当のGTグレードのみの展開で、36,235英ポンド(550万円)という価格設定だ。同じルーツとなる旧MAZDAシャシーを使っているジャガーE-PACEが35,000英ポンド(525万円)なので妥当かもしれない。ちなみにジャガーF-PACEが40,000英ポンド(600万円)、BMW・X3が43,000英ポンド(645万円)、RAV4(HVのみ)が32,000英ポンド(480万円)だから、日本市場の価格はめちゃくちゃお買い得だと言える。日本市場のCX-5新価格は2.5Lガソリン車で325万円〜となった。ベースグレードの廃止で値上がりしたけどまだまだ笑顔で買える。









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