2016年6月30日木曜日

改めて「1.8~2.4Lクラス」のエンジンについて

  小型車エンジンと比べて刷新のサイクルが遅いように感じるのが中型車エンジンです。たとえば1.8L~2.4Lの直4はトヨタも日産も化石のような古いエンジンのままです。なぜ開発そのものが放棄されてしまうのか? 日本で最も売れている中型車は、もう断トツでトヨタ・プリウスになるわけですが、つまりこのクラスのパワーユニット常識がすでにHVに移行してしまったことで、トヨタも日産も古いエンジンをベースに長年ハイブリッドシステムを開発してきたことから、安易な仕様変更ができないみたいです。

  今後は例外なくHVにどんどん置き換えられていくであろう中型車向けに、わざわざ自然吸気あるいは過給のエンジンを新規に開発するメーカーが少なくなってきたようです。HVに対して慎重な姿勢のスバルやマツダも2L4気筒にそれぞれハイブリッド化されたタイプが存在しますし、どういう因果かどちらも現行エンジンはあまり好印象ではなかったりします。これまでコスト管理がしっかりできている良質な日本メーカーの中型車エンジンは、海外の少量生産を行うスポーツブランドを支えてきました。有名なところではロータスがトヨタからエンジンの供給を受けています。

  先日行われたルマン24時間は劇的な幕切れでしたが、ポルシェやトヨタとともにLMP1クラスに参戦したチームはアウディの他に「レベリオン」と「バイコレス」がありましたが、この2チームにエンジンを供給していたのがAER(Advanced Engine Research)というエンジニアリング会社です。このAERは大手メーカーのエンジンをベースにレース活動するチームにエンジンを供給するエンジンサプライヤーですが、AERがこれまでにベースとしてきたエンジンは6気筒が日産製(VQシリーズ)、4気筒がマツダ製(MZR)です。

  AERが採用しているからこの2つのエンジンがそれぞれ6気筒と4気筒の頂点だ!というのは少々強引かもしれませんが、どちらも日産、マツダがそれぞれ「スポーティ」を意識して仕上げた「噴け上がり」重視の相当に気合の入ったエンジンです。エンジンシリンダの「長さ(ストローク)」より「直径(ボア)」が長いエンジンを一般にショートストロークと言いますが、どちらもこれに該当します。排気量に比してストロークが短いわけですから、物理的に回転数が上がりやすい設計になります。ただし燃費にとっては不利な設計です。どのエンジンなのか?簡単に言ってしまうと、先代のフェアレディZ(Z33系)に使われていた3.5L自然吸気と、これまた先代のロードスターに使われていた2L自然吸気です。

この手の設計のエンジンは欧州ブランドの方が多く採用しているイメージがあるかもしれないですが、AMG、フェラーリ、ポルシェが相次いでターボ化するなど、ショートストローク自然吸気エンジンは、限られたブランドのものだけになりました。今ではアウディR8とランボルギーニそれからアストンマーティンなど高額モデルに限定されます。メルセデスにはまだギリギリでV6のショートストローク自然吸気が残っているようですが、まもなく消滅する見込みです。

  残念ながら日産のVQ35(スカイライン、フーガ、Z、エルグランド)もマツダのMZR(アテンザ、アクセラ、ロードスター、プレマシー)もいまでは新型車への搭載は行われなくなりました。VQ35は以外なところで日産製の「救急車」に使われています。マツダMZRは2.3L版がフォードマスタングに、2L版がジャガー・ランドローバーでいまでも現役です。さらに英国のスポーツブランドで日本でも正規販売が行われているケータハムの最速モデルである「R620」にMZRの2Lスーパーチャージャーが使われています。来年の復活を目指すアルピーヌにも使われるという噂が・・・。

  マツダのMZRが一部のスポーツモデルだけのオカルトエンジンになっている現状を考えると、現役の2L前後の4気筒エンジンで最も素晴らしいフィールを持つのは、アルファロメオの1750TBという1.75Lターボのユニットになりそうです。こちらもMZRと並んでショートストロークを採用しています。そしてその次に来るのが・・・やっぱりBMWのN20ですね。BMWの歴代に比べれば凡庸なのかもしれないですけど、同じクラスで比べるならば相対的に上位が占められるユニットであることは間違いないです。スバルのFA20(86やBRZ用エンジン)はどうか? このエンジンが利するところはパフォーマンスよりも水平対抗によるサイズですから、より小さいサイズのクルマに積むならアドバンテージはありそうです。

  もっともこの順位付けは量産エンジンを対象にしたものであって、例えばルノースポールの「F4Rt」やAMGの「M133DE20」といった思いっきりスポーティに振ったエンジンは対象外にしています。スバル、ホンダ、ポルシェなどにも同様のエンジンはあります。・・・結論として量産汎用エンジンとしては①マツダMZR、②アルファロメオ1750TB、③BMW N20、④スバルFA20、⑤ホンダKシリーズ(国内はオデッセイだけ!!!)⑥日産MR20DD(登場から10年以上が経過したロングランモデルです)・・・異論は当然にあるでしょうけども、私がエンジンから指名買いしたくなるのがこの6つです。(スカイアクティブは・・・ダメ。マツダは早く目を覚ませ!!!)


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2016年6月17日金曜日

中型車をエンジンから選ぶのは難しい〜・・・。

  昨年の暮れに発売されて以降、さすがの人気を誇っているのが「新型プリウス」です。プリウスと聞いてどんなイメージを持ってますか!?ちょっとややこしいですけども、トヨタのミーハー全開のトップ戦略によってこのモデルも大きくその立ち位置を変えてきています。先代までのプリウスは正直言って燃費のためにあらゆることをガマンする人のためのクルマでした(異論は認めない!)。

  それが現行モデルになって、えげつないくらいに変化しました。デザインとか燃費とかいろいろ言われてますけど、なによりも最大にビックリなのが、ヒップポイント(座る高さ)が59mmも下げられたことです!!!もともとトヨタのこのクラスの日本仕様には「シートリフター」(シートの上下機能)という概念もほんの数年前まで無かったわけですから、ちょっと変化の振り幅が大き過ぎる!!!社長がスポーツカー好きだとここまで過激になるの!? 「BMWみたいだ!!!」「86みたいだ!!!」って感想が出るのも当然です・・・。

  全ラインナップのHV化が着々と進行しているトヨタにとって、「プリウス」の存在は浮いてしまった!!!けれどもHVと言えばプリウスというくらいにグローバルで使っている商標なので、いまさら幕引きもできない・・・。だったら思いっきり愉しいクルマにしちゃえばいい!!!とスペシャルティ化へと舵を切ってきたようです。さて何に一番スペシャルティを感じるか? と考えた結果がヒップポイントなんでしょうね。6cmって相当なインパクトです。日産やマツダがスポーティを演出する時に必ず使う手なんですけども、プリウスがこんなになっちゃったら、フェアレディZ、スカイラインあるいはロードスター、アテンザなどは余計に売りにくいでしょうね。

  国内で新型車が発売すると俄かに盛り上がるのが「オーナー掲示板」でして、本来は貴重な情報交換の場としてトリセツ以上に有用な存在なのですが、これだけ大きく変化したプリウスですからその反響はまさにカオスです。中には困った輩もいまして、ちょっと覗いてみたところ、あらら〜・・・「今のプリウスがあればBMW320iなんてもう用無し」「プリウスはゴルフも3erもまとめて追い越した!!!」と威勢のいいコメントがかなり並んでいます。

  ヒップポイントだけでなく、全体的に低重心化されて、当然に「走り」も大きく代わりました。まず動き出しと停止の段階から全然違います。トヨタによるとこのプリウスだけでなく、旧式のユニットを積むオーリスHVも日本導入のタイミングで、フィールに関する設定を新しくしたそうです。ゴルフやBMW3erの出足のギクシャク感とはまた違うタイプの出足の悪さを露呈していた先代までのプリウスが、まるで嘘のようにスムーズになりました(CVTって結構すごいのね)。新型のオーナーがちょっとハシャギたくなる気持ちもわからないでもないですね。「何がVW(AUDI)だ!BMWだ!MAZDAだ!・・・直噴とかクソ環境に悪いエンジンを平気で使っている偽善メーカーのクルマなんてドンガラだよ!!!いつまで騙されてだい?(笑)」ってところでしょうか・・・怖ーい。

  ちょっと暴走したので情報を整理すると、「新型プリウス」は単なる次世代エコカーではなく、従来から走りの中型車と言われつつも最近ではすっかりダサダサなファミリーカーとなった「BMW3er」「アウディA4」「スバル・レガシィB4」「マツダアテンザ」さらには「日産スカイライン」といったブランド頼みの「堕落組」に対しての強烈なアンチテーゼになっているようです。

  「スカイライン」に関しては日本で当初から発売した350GTというハイスペック仕様で、大胆にハイブリッド化され、モータートルクを活用することで中型車が抱える「些細な」問題はかなり解決できることを示しました。300psを越えるモデルだけども、とりあえず普通に乗ってればリッター10kmは達成できる!!!これはセダン好きの脳天を直撃するインパクトがあります。新型プリウスも発売時期が1年以上遅れて設計変更がされたようですが、どうやらこの「スカイライン革命」がその方向性に大きな影響を与えたような気がします。500万円のスカイラインHVのエッセンスを上手く抽出して300万円で売ろう!!!って狙いがあったのでは?とにかくスカイラインみたいに分かりやすいことをやってみたんですかね。ちなみにスカイラインですけど燃費・加速・ハンドリングなどなど全部規格外!!!

  EVの日産リーフって充電の面倒くさささえなければ、実はすっごく走りが良くて愉しいクルマです。電気モーターによる再現性ってやっぱりすごいんだな!!!スカイラインHVもプリウスもモーターの使い方で今後さらに進化できると思います。しかし実際はモーター制御って小学生の工作のような簡単な仕組みではなくて、専用設計の高性能インバータ(電圧などをコントロールして出力を制御する機能)が必要になります。日産やトヨタにとってラッキーなのはエアコンから新幹線までを徹底して内製してきた「コンバータ大国
」日本の技術力をそのまま使うことができることです。アメリカやドイツの自動車メーカーからしてみたら「ちょっと反則だろ!?」って感じでしょうね。

  先ほどの盛り上がるプリウスオーナーに冷や水を浴びせるとしたら「HVは反則」で、日産やトヨタがVW、BMW、MAZDAを越えているのではなくて、「川崎重工」「三菱重工」「石川島播磨」といったバックボーンがスゴいだけなんじゃないの?ってことです。自動車メーカーとは結局のところ「エンジン屋」「パッケージ屋」「デザイン屋」といったコアからなるコングロマリットに過ぎないんですけども、ここ10年くらいは、仕事が多過ぎて手が足りないとかで、すぐに何でも外注するようになりました。その結果として、比較的に社内で主導権を持つ機会が多い「デザイン屋」が威張るメーカーが増えてますね・・・N社のN村さんとか、M社のM田さんとか。

  何が言いたいか?というと、「センサー(自動ブレーキ)」「液晶パネル」「ITリンクカーナビ」「パワーシート」「シートヒーター」・・・純粋に運転を楽しみたい人にとって重要ではない家電的な機能なんて要らねーーーー!!!ってことです。ひと昔前のオンボロのBMWを中古で買ってくれば、そんなものまったく付いてないですけども(しかもエアコン逝ってる率が高い)、「クルマは愉しい」ってのがよくわかりますよ。

  けれども(日本で)BMWを新車で買えば、これらの「豪華で不要な装備」がもれなく全部付いてきます(これらは別に法定装備品でもない!)。そんな「家電セット」の付いたクルマいらねーって!!!俺はBMWのピュアなエンジンとシャシーが楽しめるクルマが欲しいだけなんだ〜!!!と言ってみたところで、営業マンにジロリと変な目で見られるのがオチです・・・。少なくともBMWジャパンではそんなプレーンなBMW車は買えないらしいです。

  純粋に中型車を愉しみたい!!!しかしそれぞれのメーカーでは「中型車とはそれなりに所得のある人々のクルマ」というしょーもない前提が、マーケティング上は非常に重要なようで、あれこれと余分なモノが付いてくるクルマを400~600万円くらいで売りつけられます。まさにゲロゲロですね・・・そしてその最先端を進んでいるのがプリウスなんだよー!!!わかったかーーー!!!(新型プリウスオーナーの自己満足の一つが輸入車並みの価格なんだろうけど)

  高齢者ばっかりになった日本の歪なマーケットゆえでしょうけども、中型車が揃いも揃って全部クソになったーーー・・・そして意味不明なプリウスが「クソに追いついた(追い越した)!!!」ってアホみたいに喜ぶ。これじゃ「若者のクルマ離れ」は不回避でしょ!!!今よりも給料水準が高かったバブル末期の中型車ってトヨタ・マークⅡが179万円〜とかですよ!!!

  プレーンなクルマが欲しい「永遠の20代」な馬鹿野郎は、トヨタに行って86でも買ってればいいさ!!!現代の中型車マーケティングに納得できない社会不適格者は、BMWと付き合っても幸せにはなれませんよ〜!!!くっそーーーー。専用設計のシャシーも無い!!!日本メーカーに張り合えるスポーティなエンジンも無い!!!スポーティに走れるまともなミッションも無い!!!ことを誤魔化してるだけじゃねーの?と悪態の一つでも言いたくなるよ。

  BMWサイドの言い分としては「中型車はガキのオモチャではない」「安全で合理的に快適な中型車を先進国の高齢者に届けるのが使命」「高いイノベーションで市場を切り開くのに適しているのが中型車」ってことなんでしょうけども・・・。まあ納得できます けどね。さて今回は「1.8〜2.5L」の北米向けエンジンについて書くつもりでしたが、あらぬ方向へ行ってしまいました。次回は日本で買える「1.8~2.5L」の中型車で、特に「非HV」なクルマについて改めてトライしたいと思います。


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2016年6月8日水曜日

BMWとスバルはやっぱり正義なの!?

  前回は「アジア・東欧」で主流の0.9~1.2Lクラスのエンジンについてあれこれ勝手なことを書きましたが、今回は「西欧」タイプの1.4~1.6Lクラスについて語ります。あ〜予め言っておきますが、実際に1.4~1.6Lの自然吸気/ターボのエンジン搭載車を愛用している人はさっさとページを閉じたほうがいいと思います。ろくなこと書いてませんから・・・。

  マツダ、メルセデス、BMW、スバル、ホンダ、アウディといった日本でも人気の中型車ブランド全てに共通して言えることですが、どうして?っていうくらいに2Lクラスと1.4~1.6Lクラスとには大きな性能の格差があります。標準(上級)グレードを2Lが、廉価グレードを1.4~1.6Lが充当されることが多いせいか、どのメーカーもわざと下位のエンジンの精度を落としているんじゃないか?(まあ当たってんだろうな・・・)

  1.5L自然吸気と1.5Lターボではまた意味合いが違うのは確かです。このクラスのエンジンが残念だと思うのは、最大トルクが自然吸気で15kg・m、ターボで20kg・m程度なのですが、思った以上に回転数が伸びないので1500kg近い重量があるクルマだと、どうしてもかったるく感じます。いわるゆ欧州的な仕立てのクルマは低回転域でのトルクを重視してエンジンやギア比をチューンしますが、2Lクラスのエンジンだと、低回転域でトルクを補った分のしわ寄せがそれよりも上の回転域にあっても余力でカバーしますが、1.5Lクラスだと「底」が見えます。

  最大出力140psくらいの1.4~1.6Lターボは、日本で売られる欧州ブランドの主力(本国では主力はディーゼル)ですが、ほとんどのモデルがボデー重量との「せめぎ合い」でギリギリのところを狙っているかのように作ります。試乗する人によって「コレで十分」あるいは「パワー不足」とマチマチの評価が出る辺りに見事に落とし込んでいます。結果的にBセグなら余裕!!!(先代ポロGTI)、Cセグは微妙(ゴルフ・ハイライン)・・・、Cセグワゴンだと不満(ゴルフヴォアリアント・ハイライン)といった次第です。

  まあクルマなんて何事も「いいクルマだ!」思い込むことが、うまく付き合うための第一歩だとは思います。「1.5Lだけどよく走るよ!」と思い込めれば、経済的な負担を抑えることができますし、つまり・・・「住めば都」です。エンジンに文句いう前に自分の運転技術を向上させろ!!!そしてエンジンのツボを捕まえてそこを狙い撃ちできるようなアクセルワークを獲得できれば、出力の不足なんてカバーできるよ!!!これが欧州ブランドの言い分なのかもしれません。下手くそは2Lクラスを買っておけ!!!

  それでは各メーカーが使う1.4〜1.6Lのエンジンを比較して優れているのはどれなのか? まずは日本車で主流の自然吸気エンジンですが・・・どのメーカーも設計はやや古めです。同じメーカーの1.2~1.3Lあるいは2.0Lは改良されているのに、1.5Lだけは放置!!!なんてケースも・・・。そんな中でもこのクラスのエンジンの特性を上手く捉えた設計になっていて文句無しに走って愉しいのが、マツダロードスターとスズキスイフトスポーツでしょうか。どちらも車重が1000kg、1100kgのレベルなので、やや高回転気味にチューンされて130~140ps出せる専用エンジンが存分に楽しめる設計です。(当たり前過ぎる話ですが)

  日本に入ってくるこのクラスのエンジンがほぼ過給器(ターボ)付きなんですけども、その中で比較すると、やはりダウンサイジングを先導したフォードの「エコブースト」が未だにパフォーマンス(出力、圧縮比など)はトップクラスだったりします。ただし残念なことにフォードの日本撤退とボルボの新型エンジン採用により、よほどの事情がなければ1.5Lも1.6Lも年内には日本発売の現行モデルからは消滅します。この「エコブースト」を追いかけてほぼ同等の性能を追求して開発されているのが、BMWとミニが使うの3気筒1.5Lターボ「B38」とスバルの4気筒1.6Lターボ「FB16DIT」の2台で、共に圧縮比「11.0」で並びます。公平に見てこの2つのエンジンが「1.4~1.6Lターボ」において国内市販車では現状で最高のエンジンだと言ってよさそうです。(VW、アウディ、ボルボ、メルセデス、BMW、フォード、ホンダ、スバル、日産、ルノー、プジョー、シトロエン、フィアット、アバルト、アルファロメオが比較対象)

  意外だったのは、エンジン屋のホンダが国内でも販売を開始している1.5Lターボが、既にスペック面でやや遅れをとっていることです。BMWやスバルに比べれば2000年代以降のターボ化が遅かったので無理もないかもしれないですが、常にエンジンで世界最高を目指すホンダにしてはどうも変調気味ですね・・・。同じくあまり気合いが入っていないのが技術屋の日産でして、日本ではジューク・ターボのみの展開だからでしょうか、スペックの追求がイマイチで「らしく」ないですし、どうやら他の車種への転用にも否定的なようです。親会社のルノーも最近になって新型1.6Lターボ(日産とは別物)を作りましたが、これもあくまでルーテシアの特別グレードの専用エンジンで、PSAの270ps級に対抗するスポーツエンジンです。圧縮比は当然に悪く「9.5」です。

  プジョーやシトロエンが使い続けている、BMWとの共同開発の1.6Lターボも、270psのスペシャルチューンに対応できるだけのポテンシャルはあるようですが、市販車向けエンジンとなると圧縮比は「10.5」でホンダや日産の気の抜けたエンジンと同じ水準に過ぎません。ちなみにこれらのメーカーの名誉のために言っておくと、「10.5」は業界をリードするVWの1.4Lターボがマークしている数字ですので、全てのメーカーにとっては一つの指針ではあるわけですが・・・。

  最後にメルセデスとボルボについて。メルセデスは1.6L、ボルボは1.5Lを4気筒のまま、それぞれ2L直4と同じブロックを使うことを前提に開発されているので、シリンダーのボア(直径)が2Lと同じ数値です。よってストローク量が少なくなるので、どちらもショートストロークエンジンになっています!!!このタイプはピストンスピードを極限まで追求(ホンダ、BMW、アルファロメオ、アウディなど)しなくても回転数を上げやすい形状なので、これはかなりスポーティなんじゃないの!?と机上では期待できます。実際はどうなのか?試乗レベルだとどうしても走りの追求はできませんから、断定は避けますが・・・、案外に峠に行って踏みまくっていれば「化ける」可能性はあります。ちなみに「A/CLA/GLA180」と「T3」というグレード限定のエンジンです。いずれもちょっとボデーが重いかもしれないけど・・・。


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2016年6月3日金曜日

エンジンでクルマを選ぶならば・・・

  せっかくクルマを買うならば、「良いクルマ」を選びたいですよね。できれば「名機」と讃えられるようなエンジンを積んでいて、「芸術」と称されるデザインでボデーが包まれ、「人間工学」に優れた機能性を有しているいわゆる「名車」がいいな。そしてそれがどんな場所で、どの市場のどの階層を目的として作られているのか?なんてのも気になります。

  最近のクルマは雰囲気だけで値段が決まっていることもあって、400~500万円くらいする国産では高級に属する部類のモデルのエンジンが、中国の工場で組み付けられていたりします。他にもドイツのプレミアムブランドと日本のプレミアムセダンに併用されている直4ターボエンジンが組み付けられているのはアメリカの工場です。グローバルで年産100万台くらい作るメーカーでないと、廉価な量販車を一定の品質で開発することは難しいようですが、大規模な工場でも年産30~40万台くらいですから、トヨタやマツダのように国内拠点をクラスター化しているメーカーでも車種によっては海外組み立てモデルを輸入するケースもあります。

  国内販売モデルの車種を確保するために、スズキはハンガリーとインドからグローバルモデルを導入しています。最近では排気量である程度はどこの地域で作られたクルマかがわかるようになっていまして、0.9~1.2Lくらいの小排気量はアジアと東欧、1.4~1.6Lくらいだと西欧、1.8~2.4Lだと北米といった感じです。2.5L以上になると大抵の地域で高級モデルと位置づけられているようです。

  日本では軽自動車を除くとHV車の割合がかなり高くなっていて、単純に排気量だけで車格を判断しにくくなってますが、「アジア・東欧」が100万円台、「西欧」が200万円くらい、「北米」が200~300万円台と階層化しつつあります。VWでいうと、up!が150万円で「アジア・東欧」基準で、ゴルフオールトラック(1.8Lターボ)やゴルフGTI(2Lターボ)は350万円で「北米」基準で適正価格化されてますが、ポロの(200万円)やゴルフのトレンド/コンフォート(250万円)は「アジア・東欧」、ハイライン(325万円)は「西欧」の基準で考えるならばやや高価?かもしれません。

  それぞれの排気量別クラスにおいて、定評のあるエンジンとは?
「アジア・東欧」クラスでは、やっぱり大衆車の有名ブランドが強いです(断言)。まずはスズキの「K10」&「K12」ですが、3気筒1LのK10よりも4気筒1.2LのK12の方が「デュアルジェット」というこのクラスの決定版的なスペシャル高効率タイプのものがあって先進的です。クールドEGRを使って圧縮比を「12.0」まで高めています。これはVWの汎用EA211の「10.5」など世界のこのクラスの有力なエンジンと比べても異例の高さを誇ります。

  唯一「K12」と同等の性能(圧縮比)を持つ小型車エンジンが、マツダの「P3-VPS」通称:1.3LスカイアクティブGで、こちらも現行量産タイプで「12.0」となっています。先代モデルに使われた試作の「P3-VPS」は電動VVTという強烈な飛び道具が付いていて「14.0」という驚異的な数字でしたが、さすがにマツダのコストに合わずにトヨタのV8くらいしか採用例がない電動VVTはキャンセルされました。しかもマツダのエンジンは自然吸気にもかかわらず「直噴」なので・・・少々難点を言えば排ガスが汚いです。なので心理的にもスズキのインジェクタータイプ(ポート噴射)の方が心理的にも良好です。マツダのスカGよりも60cc少ないにもかかわらず、出力はほぼ同じですからスズキの小型車エンジン技術の高さが伺えます(VWが提携してまでパクろうとするのもよくわかる)。

  実はこのスズキとマツダの4気筒「12.0」の前に大きく立ちはだかる「世界最高峰の小型車エンジン」があって、作っているのはもちろん世界のエンジン屋・ホンダです。「L13B」というフィットに使われる1.3L4気筒の自然吸気エンジンの圧縮比は脅威の「13.5」です。しかもポート噴射タイプなので排ガスもキレイです。BMWだってアルファロメオだってまず勝てないであろう、世界最高のエンジンが搭載されているフィットの最廉価グレード車・・・。「HVに比べて燃費が悪い」やら、ミラーサイクルなので「Vテックの噴けとまではいかない」などなど悲し過ぎるコメントに押しつぶされてしまっている悲劇の名機です(一度お試しあれ)。

  もちろんエンジンに関してはどこにも負けない!!!という闘争DNAがまだまだ受け継がれる日産からも、「HR12DDR」というスペシャルエンジンが開発されています。こちらは直3スーパーチャージャーというなかなかマニアックな仕様です。過給器付きエンジンにも関わらず「12.0」の圧縮比を確保している辺りが、さすがは日産です。過給器付きですから直噴ですので排ガスは・・・。現行ではノートの上級グレードに使われていますが、これに日産の系列ミッションサプライヤーである「愛知機械工業」のMTが組み合わされたモデルがあればいいですけどね。前述のスズキ、マツダ、ホンダはMTで楽しめます。

  トヨタのヴィッツはどうなのか?・・・2012年に登場したホンダの「L13B」に遅れること3年。トヨタも執念で「13.5」の小型車エンジンを出してきました。型式は「1NR-FKE」という1.3Lの自然吸気でクールドEGR、アトキンソンサイクル、VVT-iE(可変バルブタイミングですね)などなど、ホンダをパクったかのような全部載っけ仕様です。開発を請け負ったのはもちろん傘下のエンジン屋で知られる「BMW」ではなくて「OMW」の方です。「Bayerische Moteren WerkeAG」ではなくて「Osaka Moteren WerkeAG」ことダイハツです。

  ダイハツはすでに「11.5」の圧縮比の「1KR-FE」というエンジンをチェコにあるトヨタとPSAの合弁会社で作られるモデル(トヨタ・アイゴ/プジョー107/シトロエンC1)に供給してましたが、この「1NR-FKE」はしばらく海外には出さずに秘密裏に研究を進めるようです。ハイブリッドやディーゼルもいいですけども、日本の小型車の本当にスゴいところは自然吸気のガソリンエンジンにあると思うんですよ。同クラスの輸入ブランドがいくら頑張っても「アジア・東欧」クラスではまず勝ち目がなさそうです。

  よくアホな評論家がこのクラスの輸入車を意味不明に褒めたあげく、日本車と違ってエンジンにカネが掛かってる!!!とかほざいていますが、どこをどう切り取ったらそういう解釈ができるのか理解に苦しみます。輸入車メーカー(&マツダ)がコストダウンばかりに目を奪われずに、ポート噴射で排ガスがキレイで、熱効率が40%!?といった建設的な視点でエンジンを作るのはまだまだ先なんじゃないですかね・・・。まあ輸入車なんてそんなもんです。

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