2016年2月24日水曜日

200万円台 第4位は・・・DS3 

  「シトロエンは正義だ!」・・・まあいろいろご意見はあるとは思いますけども。なんといってもシトロエンの特に「DS」ブランドのクルマは見栄えがいいです。日本車やドイツ車はどうしても「車格」が気になってしまって、買った後に絶対に後悔する姿がリアルに想像できてしまいます。例えば3シリーズを買ったとして、どこかでマヌケな面した5シリーズ乗りに遭遇したらなんかムカつくでしょう。頑張って5シリーズを買ったとしても、6とか7に乗ったいわゆる「 BMW乗り」に出くわしたら、「5シリ乗りの分際でドヤ顔かい?(笑)」とガツンとやられます。

  それじゃあと粋がって7シリーズを選ぶと、ドライブしても高速のSAか交差点角のコンビニくらいにしか停められない・・・なんて不便なカーライフになるでしょう(「親分」サイズ)。考え過ぎですかね? でもBMWに真剣になれない理由がまさにこれです! そんなこといちいち気にしない「能天気」で「ハッピー」な人になりたいな〜(笑)。ただはっきりと言えることは、私(たち)が神経質すぎるのではなく、全ては「BMWの戦略」だということです。下位グレードのクルマにはユーザーには必ず劣等感を「植え付ける」ような仕掛けがされているのです。4や5シリーズはともかく、1〜3シリーズに乗る・憧れる人は失礼ですが、よっぽど無神経かクルマ音痴と言わせてもらいます(ミニバンは除くけど)。

  それに比べてシトロエンDSブランドが発信する「潔さ」はとても気持ちのいいものです。やっぱりこのブランドは「正義」ですね。・・・結局のところメルセデス、BMW、アウディ、レクサス、シトロエンDSといった「プレミアムブランド」からどのモデルを選んでも、新車で買ったならばそこそこ羽振りがいいんだな・・・っていう雰囲気は十分に出せるでしょうし、知り合いを乗せてあげれば「いいクルマだね!」と褒めてくれる要素には、とりあえず事欠かないでしょう。褒められる要素をしっかり用意しているクルマ・・・それがプレミアムカーです。じゃあその中でもっともコスパが良く「褒められカーライフ」を満喫できるクルマは?・・・それがDS3だと思います。

  最初に断っておくと、DSブランドは・・・PSA(シトロエン、プジョー)と基本設計を同じとするクルマですから、「いかに高速道路を安定して走るか?」といった尺度ではドイツ勢(Aクラス、1シリーズ)に対して少々分が悪いです。大抵の人々はDSブランドのリアサスペンションの形式が「トーションビーム」なのを見て少々困惑します。私がこれまで高速道路で経験してきたクルマから判断する限りでは、「トーションビーム」と「ダブルウィッシュボーン/マルチリンク/インテグラルアーム」では、高速巡航時の安定性にかなり大きな差があります。とりあえずリアに後者を装備する「セダン/ワゴン/ハッチバック」ならば、高速道路の速い流れの中で、さらに最も早いペースで巡航したとしても全く怖いと感じることはないはずです。

  よって「トーションビーム」装備車を選ぶとなると、基本は高速道路では使わないクルマとしての用途が浮かびます。まあとりあえず高速道路に乗りさえしなければ(100km/h以上出しさえしなければ)、トーションビーム車が大きな弱点を露呈することはないですね。BMWやマツダをこよなく愛する人種は、この辺の性能にやたら神経質なので、トーションビームを多用するトヨタ、ホンダ、シトロエン、プジョー、ルノーに対して厳しい意見を持っていることが多いようです。けれども世の中はすっかりSUV(車高高いので安定しない)が大人気ですし、あまり使わない人にとっては高速道路の走行性能なんていちいち気にして買う人は少数派になってますね・・・マツダもBMWも今ではすっかりSUVにご執心なことですし(笑)。

  日本の高速道路なんてさ・・・使う度に少々イラッとするくらいのぼったくり料金ですから、よほどの用事がない限りはわざわざ高速を使って移動する有り難みなんてないです。できることなら乗らない方が幸せだと思います。ドライブを楽しむだけならば、もっといい道路はいくらでもありますし。そう考えると、いっそのことシトロエンDS3を買って、「高速道路に乗らないカーライフ」を実践してみるのもいいかもしれません(ETCも付けない!)。BMWやマツダを皮肉るわけじゃないですけど、高速巡航性を妥協しないメーカーのクルマって、やっぱり乗り心地がイマイチなんですよね。

  BMWの1〜4と、マツダの現行全ラインナップに言えることですけど、フロントのサスが簡易的な形式のものになっているので、(そのせいかわかりませんが)以前のモデルよりも過剰気味なハンドリングを受け付けてくれなくなっています(あまり無茶するとヘンなお釣が来ますよ!)。最近のマツダ車に標準装備されている「運転支援システム」は、ドライバーの過剰なハンドリングに対して、警告を発するなど厳しく採点で罰したりしますけども、実際のところは従来の振り回せるマツダ車ではなくなって、環境性能を重視して操縦範囲が狭くなっているトヨタやホンダ車に近づいているクルマの「素性」この機械で隠しているのかもしれません(そうとしか考えられない・・・アテンザのこのランキング順位は低いぞ!)。

  シトロエンDS3はおそらく欧州の設計基準である「250km/h巡航」に対応した設計にはなって「いない」と思います(1.2Lターボじゃ最初から無理ですけど)。いわゆるアウトバーンで右側(走行車線)を走るクルマです。一方でBMWもマツダも「左側(追越車線)」向けを強く標榜しているブランドです。また近年「左車線」で存在感が増していると言われるアウディは、BMWやマツダとは違って妥協しない高性能サスを使いますが、やはり「250km/h巡航」設計が仇となって、どうも乗り心地がイマイチです(新型A4はどうなったかな?)。・・・で思うんですよ、いくらなんでも日本で「250km/h巡航」設計はオーバースペック過ぎるだろう・・・と。

  ちょっとクドくなりましたが、シトロエンDS3はBMWやマツダ的な価値基準を追う事に、少々疲れた(飽きた)人々にとって、眼からウロコな「日本スペシャル」といっていいクルマです。BMWほど高速巡航性能が無い代わりに、BMWやマツダにはあまり期待できない非常にセンスの良い内装が楽しめます。さらに「クルマとの対話」を楽しめるマニュアル・ミッション(MT)も用意されていて、BMWが以前に設計した1.6Lターボエンジンが付いてギリギリで本体価格が200万円台に収まっています。Aクラスや1シリーズのベースグレードと同じくらいの価格ですが、「走り」に関しては間違いなく「DS3スポーツシック」の方が「深く」楽しめるはずです。

  シトロエンDSは現行でDS5、DS4、DS3の3車種が用意されていますが、この「3兄弟」のキャラがそれぞれに好感度高いです(考えたのは誰だ!?)。長男の「DS5」はちょっとびっくりなフォルムのツアラーです。類をみないボディタイプをみただけで「特異」な存在だとわかりますが、トヨタのアルファードのような「世界一ゆったりできるファミリーカー」を目指した!と言われたら、全てにおいて大いに納得できる設計です。

  次男の「DS4」はAクラスや1シリーズと同じCセグハッチバックです。同クラスのライバル車は日本で販売されているだけでも10車種くらいはあって、輸入ブランド同士が日本で激戦を繰り広げています。その中でDS4はやや「地味」で存在感が薄いです。3兄弟の中でも同じく「薄い」です。しかしCセグのライバル車を見るとあれこれデザイン上の欠点が目に付くのですが、このDS4は360度どこから見ても隙がないです・・・もちろん内装もクラスナンバー1と言っても語弊はないでしょう。けれども「薄い」です(美人薄幸?)。

  そして三男の「DS3」は眩しいくらいに磨き抜かれた「デザイン」が光ります。末っ子らしいオーラとでもいいましょうか、このクルマを選んだ人はDS5やDS4を特別に羨んだりすることはないのでは?と思うほど、このクルマ自体に独特の「惹き」があります。DSブランドが認知されようななかろうが、「DS3」という輝くスターモデルが存在価値に大きな影響はない!といっていいくらい、ブランドの枠を越えた「規格外」の存在感です。これって名車の条件ですよね! 「アンフィニ」なんて知らないけど「RX7FD3S」は知っている!みたいな感じでしょうか?

  最近思うのですが、トヨタがレクサスブランドの人気を上げることに躍起になってますが、これからの自動車販売では「レクサス」ブランドではなくて「プリウス」ブランドなるものを新たに作ったほうが効果的ではないかと思います。プレミアムブランドなんて結局は「営業利益率を10%以上に押し上げる」というシンプルな発想の具体論にしか過ぎません。レクサスをゴリ押しするよりも、「プリウス」ブランドでクルマを磨いた方が早く結果が出るのではないでしょうか・・・それくらいに新型「プリウス」には華がありますよ。

  DS5よりもDS4よりもブランドの顔として立派に君臨している感のある(逆ヒエラルキー!!!)DS3は、フランスからやってきた「プリウス」に匹敵する怪物車だと思いますよ。もうブランドの時代は終わった!これからは個々の「モデル」の時代だ!!! トヨタなんて知らないけどプリウスは知っている! シトロエンなんて知らないけどDS3は知っている!そういうクルマとの巡り会いが今後は増えて来るのではないでしょうか?


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2016年2月10日水曜日

200万円台・第3位はレガシィB4

  「乗用車とはこういうものだ!」というスバルの素晴らしいほどのコダワリが出た傑作車だと思います。このクルマは一見しても、あまり良さがわからないのですが(わかりにくい)、いろいろとクルマを観察してその設計における理念がどんなものかを想像すると、現在の日本市場でクルマが選ばれる基準が、かなり怪しいブームに乗っかっていて、レガシィはそんな風潮とは一定の距離を置きつつ、徹底的に「正しく」作ったクルマなんだ・・・そしてそれを裏付けるような「発見」が次々とあります(まああくまで素人目線でのことですけどね・・・)。

  そもそもこの「レガシィB4」ですが、カーメディアの反応は全般に非常に低調です。日本で販売されている主要モデルに主筆が評価を下すという体裁で、毎年発売されている「間違いだらけのクルマ選び」シリーズにおいて、レガシィB4はD・Eセグセダンの中では、クラウンと並んで非常に評価が低い1台となっています。さすがに「真っ直ぐ走らねぇ!」とまで言われたクラウンほどキツくはないですけども、昨年版に引き続き2016年版でもやはり酷い書かれようでした(というより無視?)。アメリカで競合しているカムリやアコードが日本市場ではさっぱり売れないのだから、このクルマも当然にダメです!って一理あるかもしれないですが、これはプロの文章とは思えないくらいビックリなんですけど・・・。

  主筆は「ニッチなスバルがこんなぼやけた商品作ってどうする!」などと言ってますが、まあ確かにそう言われても仕方ないかな?・・・クルマに関してはあれこれ真剣に作ってますけど、その良さが結局のところいまいちユーザーには伝わっていないのは事実です。プロのライターだって見過ごしてしまうくらい!? それでも、いざミドルセダン(DEセグセダン)を買うと決意して比較検討に入ってみれば、200万円台なのにパワーシート&シートヒーターが標準(しかもリアシートもヒーターが!)だということが判明して、このクルマのスゴさの片鱗がわかるはずです。え?なんでスバルはここまで気が利いているの!?トヨタグループ入りするってこういうことなの!?

  「ミドルセダンの『肝』はシート」 セダンを買ってそれを使うあらゆるシーンを想像してみてください。まずはひたすらに優雅に座っていられる、非常にコンフォータブルで至れり尽くせりな「シート」が無いとコンセプトが成立しない!です。とりあえずレザーである必要は・・・微妙ですけども。レガシィB4はクルマの特性から言ってパワーシートが標準でないと成立しない!この奇妙なコダワリこそが、レガシィB4に注がれたスバルの「ブランド理念」を端的に表しているのでは・・・その事実だけでこのクルマを所有したい気持ちがかなりくすぐられます。

  「どんな車よりも安全で快適であること、それがレガシィB4」 もはや周知の通りレガシィは「全車AWD」であることに一切の変更は無いです。AWD以外は成立しない!それが次世代のミドルセダンの姿!ちなみにどこのメーカーも全車AWDのミドルセダンなんて作ってないです。・・・この時点でアメリカで競うカムリやアコードとは全くの別物だと言っていいと思います。日本ではカムリやアコードはFFだけしか導入されていません。同じく米国を主戦場とするようになったアテンザならば「AWD」が選択できますが、残念ながら300万円を大きく越える価格でしか設定はありません。「200万円台で唯一のAWDミドルセダン」これだけでも十二分にニッチだと思うのですけどね・・・。

  「CVTというだけでクルマ失格」 プロのライターの間で広まっている新たな宗教ですね。トヨタ、レクサスのハイブリッド車はCVT(電気式)以外は選べませんから、多くのライターがレビューで日本車に難癖をつける定番ネタになりつつあります。レガシィB4に「画竜点睛」という言葉が当てはまるならば、それはやはりCVTの点だとは思います。実際のところは回転数を見ながら走るという、クルマ好き特有の乗り方さえしなければそれほど「気持ち悪い」感じはしないのですけど、回転数とアクセル操作がシンクロしない現象がとっても嫌という意見はわかります。

   ・・・けどね ZF社のATを装備する某ドイツメーカーみたいに、虚偽の回転数表示をしてまで気分を高揚させる演出もどうかと思いますよ(構造上はシフトチェンジ速度はそんなに早いはずないのに4000rpmまで瞬時に上がる)。そんなバーチャルな感覚を基準に評価されるCVT車はちょっと不憫な気もします。そもそも「安全で優雅に走るセダン」に対してミッションによるフィールの良し悪しを過剰に意識するようなスポーツカー的な評価基準がそれほど重要なのかでしょうか? 

  常々思っていることですが、スバルの看板モデルとして広く知られているのは「レガシィ」ではなく「インプレッサ」なんですけど、クルマの魅力が遺憾なく高められていると感じるのは、やはり上位車種になる「レガシィ」の方です。確かにレガシィといえば「SW(ステーションワゴン)」であり、その系譜はレヴォーグへと引き継がれていて、これまでスバルを愛好してきた人々が「レガシィB4」へ素直に愛着を持てないのもわかります。けれども、AWD、高い静粛性、安全性、快適性などスバルが現在持ち得る「乗用車向け技術」が惜しみなく投入されている・・・としみじみ感じられるクルマなんですよね。

  VWがアメリカの検査機関の抜き打ち検査に引っ掛かって大問題に発展しました。実はアメリカの検査機関って「抜き打ち」が結構好きみたいですね。数年前も前触れもなく新しい衝突安全基準として「スモール・オーバーラップ」という検査が行われました。これ日本ではあまり大きく報じられませんでしたが、アウディとメルセデスが「全滅」するという前代未聞のスキャンダルでした。そんな抜き打ち試験をあっさりパスしたのが、ボルボ、スズキそしてスバルでした(ホンダと日産も及第点だった)。この一件以来、スバル車の北米での人気はとどまることを知らず・・・2000年代最強の「ライジング・スバル」として北米市場で全てのドイツブランドを追い抜かすという、グローバル100万台規模のメーカーとしては異例の快挙を成し遂げました。

  「日本車はすごいぞ!」みたいな国粋主義を振りかざすのは、あまり本意ではないのですけど、実際に自分が買って何年も共に時間を過ごしたいクルマは、こういった「ストーリー」を持ったものだと思います。アメリカンなサイズと、CVTのみの設定・・・こればっかりは実際に試乗してもらわないとですね・・・。ただしスバルから発売されている「WRX・S4」と比較するならば、安定感のあるサイズもいいですし、非ターボ車ゆえにCVTの嫌な点が目立ちにくいという印象なので、S4買うくらいなら黙ってレガシィB4にしておきたいですけどね。

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2016年2月1日月曜日

200万円台・第2位 プリウス!!!

  まだ発売して間もないので、今後はいろいろな不具合が噴出してレビューされるかもしれないですけども、これはなかなか「とんでもないクルマ」が出てきたと思いますね。もちろんいい意味で! 

  2013年にVWゴルフ(7代目)が大きな話題になりましたが、愛知県にあるトヨタの研究所で極秘にゴルフがたくさん分解されている!みたいな業界のウラ情報が結構ガセが多い某クルマ雑誌に書かれていましたが、どうやらそれに関しては本当だったようです。今回、トヨタから発表されている新型プリウスの技術概要を見ると、スタンプ材(超高張力鋼板・ホットプレスなど呼称は複数あります)を基本骨格とするであるとか、レーザー面溶接を使うであるとか、2年くらい前に話題になったVW自慢の車体技術を余さずフォローしているのがわかります。

  当時はVW陣営から「プリウスからの乗り換えが多い!」といった情報がリークされるなど、完全に挑戦状が叩き付けられた形になりました。しかしこういう時(身の程知らずがナメてきた時!)のトヨタはかなり本気でやる事が多くて、これまでもしばしばホンダや日産が血祭りに挙げられて痛い目に遭ってきました・・・。それにしても先代からの振り幅が大きい!スーパーFMCですね。もはや廉価HVで片付けられるシロモノではないと思います。

  まさかプリウスが、「車体剛性を高める=走行性能・衝突安全の向上」に邁進する高品質車の新しいスタンダードの先頭グループに入るとは・・・。ドイツや日本のメーカーは、これまで培ってきた技術力を生かして新興国のメーカーに差をつけるクルマ(付加価値の高いクルマ)作りへと舵を切りつつあって、VWやマツダなど従来は大衆ブランドとされていたところが、いち早くこの流れに乗って業績を伸ばしました!

  クルマの付加価値にはいろいろなファクターがあるのですが、近年はビッグサプライヤー(大手部品メーカー)が、クルマを研究して自動車メーカーへと提案する時代みたいで、メーカーが価格を上げてでも「いいクルマを作る!」と決断しさえすれば、高級車で実績があるザックス、ビルシュタイン、ZF、ゲトラグといった確かな技術力を持つドイツ系サプライヤーがすぐに協力してくれるようです。それらに対抗するKYB、ショーワ、ジャトコ、アイシンAWといった日本メーカーも控えています。それでは自動車メーカーは何をするのか?というと、これらの高性能部品を高い水準で使うためには「高剛性」な車体を作ることが要求されます。エンジンに負ける、タイヤに負ける、サスペンションに負ける、ミッションに負ける・・・シャシーではダメだ!とこれまで数々の日本車が叩かれてきました。(シルビア、IS-F、スープラ、ソアラ、セリカ、レビン、MSアクセラ、RX7・・・)

  ドイツ勢と日本勢そしてボルボなどは、新たな車体設計のスタンダードとして使用する鋼材を約900℃の熱であぶりながら成形する「ホットスタンプ(ホットプレス)」という方法を多用するようになりました。ただし従来の「冷間成形」よりも割高なコストなので、その負担を少しでも軽減するために、複数の車種で「ホットスタンプ材」を使用する部分の共用化から新設計共通シャシーへの流れは既定路線になりつつあるようです。「MQB」(VWグループ)「TNGA」(トヨタグループ)「EMP2」(PSAグループ)「スカイアクティブシャシー」(マツダ)など各グループは「新たなスタンダード」を掲げていて、今後はラインナップのほとんどの車種が高性能シャシーを採用した「クオリティカー」になるんだとか。

  しかしこれには残念ながら落とし穴があって、日産やホンダなど新興国市場に次々に生産拠点を移しているメーカーでは、日本に製造拠点がある鉄鋼メーカーからの鋼材の供給で不利になるなど採用が難しい部分もあるようです。例えば中国での現地生産ならばここ10年で頭角を現してきた中国鉄鋼メーカー群から供給を受けるのが自然ですが、ホットスタンプ材の安定供給はまだまだ難しい部分があるようです。実際に新設計共通シャシーを使う4つのメーカー群の中で、現地生産比率が圧倒的に高いVWは、思うようにコストが下がらずに営業利益が圧迫されていると報道されていました。

  日本での生産台数の維持を声高に掲げるトヨタとマツダにとっては、この新設計共通シャシー採用車の注目度が高まることは追い風となりそうです。爆発事故という思わぬ形で名前が知られた愛知製鋼・知多工場ですが、日本車の強さの秘密はこのような系列の鉄鋼会社の存在にあります。今回の事故で特殊鋼材の供給がストップしてトヨタのラインが1週間程度止まるらしいですが・・・。またトヨタ、マツダと並んで国内生産比率が高水準にあるスバルも、技術概要をあまり開陳しませんが、主力車種の設計はかなり高いレベルで共通化されています。前後のサスペンション形式がブランド内で全て統一されているメーカーは一定以上の規模だとおそらくスバルだけだと思います(FRのBRZまで同じ!)。

  ちょっとわかりにくい話になってしまったかもしれないですが、「新設計共通シャシー」を使ってドイツ、日本、フランスなどそれぞれの本国工場で集中的に作られるクルマは、世界の乗用車の中でも非常に高い水準にあると考えられる!ということです。「車体剛性」を上げるため(安全のために)には、戦車のような厚い鋼板を使えばいいわけですが、燃費向上のためにHV化が推進されているのに、車体重量の増加してしまっては本末転倒です。スタンプ材やレーザー溶接によって、これまでにないような軽量化を実現しつつ、車体剛性を上げるという「ブレイクスルー」によって飛躍的にクルマが良くなったということです。

  ノートパソコンに例えると、これまでは重くて大きいHDD(ハードディスク)を積む必要があって、モバイルとしての価値が低かったものが、数年前からSSD(フラッシュメモリー)を積んだものに変わり、「軽くて・薄くて・壊れにくい」という大きなイノベーションを起こしましたが、クルマにとってのスタンプ材の採用はちょうどそれに近いと思います。今では電気屋でパソコンを買う人は少数派だと思いますが、「HDD」のパソコンと「SSD]のパソコンがあって、当然に「SSD」の方が割高なんですけど、その使い勝手の良さから圧倒的に選ばれます。これと同じで試乗してみたら圧倒的にいいから選ばれたのが、スタンプ材を使ったシャシーをいち早く製品化したVWとマツダだったということです。

  そんな「スタンプ材シャシー」の高品質車カテゴリーに、トヨタ屈指のベストセラー車プリウスが満を持して参入してきました。しばしばトヨタの技術を疑問視する声がありますが、あのBMWが頭を下げてトヨタの軽量化技術の提供を求めてきましたし、その技術によって大幅な軽量化を実現した7シリーズ(BMWの最高級車)も発売されました(7シリーズは大きいプリウス!というのは語弊があるでしょうけど・・・)。もちろんBMW、トヨタ、VW、マツダが同じ設計というわけでもなく、同じ乗り味ということでもないですが、乗用車の設計で使える常識の範囲内で、同じ方向性のブレイクスルーを果たしたのは確かです。

  トヨタが総力を上げて行ったダイナミックな改革を経て、「入門用高級車」みたいな立ち位置になったプリウス。それで価格は200万円台を維持している!というだけでも素晴らしいことです。それではなんでこのクルマが1位じゃないのか? カタログを一通り見た人なら気がつくでしょうが、このクルマには「別売りパーツ」が大きく分けて3つあるのです。最上級の「プレミアムA」にはその中の1つである「本革シート・パワーシート・シートヒーター」が付いてきますが、価格は340万円まで跳ね上がってしまします。さらに「ナビ」が完全に別パッケージなのに加えて、もっとも気になるのがホイールです。なんでエコカーなのにスチール(鉄チン)なの?(申し訳ない!アルミでした!) しかもホイールカバーが超絶ダサい・・・。

  ある評論家が書いてましたが、今やスチールもアルミも製造コストはほとんど変わらないので、特段の理由が無くスチールホイールを標準にする必要はないそうです。上級グレードでもスチールになっているなんてもはや理解不能です。狙いはハッキリしていて、約30万円するホイールセットを売りたいのだと思います。モデリスタとTRDというトヨタの純正パーツブランドからそれぞれグッドルックなホイールが発売されてます。

  トヨタの戦略にみすみす乗って「プレミアムAツーリング」に純正ナビと純正ホイールを律儀に入れると乗り出し価格は430万円くらい? クラウンの価格帯に完全に踏み込んでますし、マークXなら3.5Lモデルに手が届きます!!! 3シリーズなんて乗りだし400万円以下もあるとか・・・。あるいはアテンザXDのLパケも可能です。まあ先代までのプリウスならば「とんでもない!」と一蹴したいところですが、400万円のプリウスもいいんじゃないか?と思えてしまうくらいに、今回のプリウスは魅力的ですね・・・。ぜひ一度お試しください。

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